【献体写真SNS炎上】東大医学部の解剖学教授だった養老孟司さんは「年に1回、供養に行きます」…女性外科医の“不謹慎”解剖実習が物議
ご遺体の前でのピース写真が炎上
不用意な投稿で炎上、というのはもはや日常の光景となっているが、このケースの場合、撮影場所がかなり珍しいことで注目度も高まったようだ。 きっかけは東京美容外科に勤務する女性医師のブログ(現在は削除済み)。グアムでの「解剖実習」の際、献体、つまりはご遺体の前でピースサインを出した写真を掲載したことが批判を集めたのである。ご遺体にはモザイク加工しているとはいえ、頭部が並ぶ写真をWEBにアップしていたため、大炎上となった。 批判を受けて、医師の上司にあたる麻生泰氏(東京美容外科統括院長)は自身のX上に以下のコメントを発表。 「大変申し訳ございません。 主催者の1人としてお詫びします。 ただ、解剖をする事は外科医にとって、とても重要な意味を持ちます。 臨床に携わる医師が解剖する事は、学生時代との解剖とは違い、患者さんに直結して還元できる事が大きいです。 腕の良い外科医を作るうえではなくてはならないものだと考えています。 全ては患者さんの利益になる事だと考えます。 この写真は、アメリカで解剖している事ですので、日本ともルールが異なります。 投稿は既に削除されております。 この事で臨床医師が解剖できる火が消えませんように願います」(12月22日) しかしこのコメントもまた、「何が問題だとされているのか理解していないのでは」といった批判を浴びる事態となっている。「解剖を否定している者などいない。問題は献体(ご遺体)への向き合い方である」という声が上がってしまったのだ。
東大に飾られた一輪の花
解剖ということから、養老孟司さんのことを連想したネットユーザーも多いようだ。養老さんは東京大学医学部の解剖学教授だった。著書ではたびたびこの時の経験について触れている。いろいろな思考を深めるきっかけにもなったようだ。たとえば『死の壁』(新潮新書)には、次のような文章がある。 「毎日のように死体を解剖していた解剖学教室でも、学生の誰もが解剖しづらくなって、一週間でやめてしまうというケースがありました。 それは、私も教わっていた解剖の先生の死体です。その先生は、献体運動にも熱心だったので、当然、ご自身の遺体も献体されました。 しかし、これを解剖するのは、いかに死体に慣れている私たちにも抵抗があった。人によってはそれでも平気という人もいないわけではないけれども、大多数にとっては辛いことです。(略) 解剖をしていたり、医者をやっていたりすると、人間をモノと思うようになるというふうに思われがちですが、それはまったくの誤解です。だからこそ私も、学生も、生前を知っている先生の解剖には躊躇(ちゅうちょ)したのです。(略) 一般には死体をホトケといいますが、ホトケを扱えといわれても困るわけです。当然、死体をどう扱うかについて考えるには、それが何であるかを考えざるをえません。結局、私は死体も人間であると考えるようにしました。生きている人を扱うのと同じように、死体も扱う。そう考えておけば何の不都合もありません」