3種類の自動運転バスが隊列を組んで走行 JR西日本とソフトバンクが報道公開 今秋より日本初の公道での実験開始へ
西日本旅客鉄道(JR西日本)とソフトバングはこのほど、滋賀県野洲市のテストコースで連節バスの自動運転や、車種の異なる3台の自動運転バスによる隊列走行のデモを報道陣に公開しました。11月からは、広島県東広島市で、公道では日本初となる連節バスおよび隊列走行の自動運転の実証実験を開始する予定です。
両社は20年3月、自動運転と隊列走行技術を用いたBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)の開発プロジェクトを開始しました。BRTは、路線バスよりも短時間で移動できる、時刻表通りに運行(定時運行)しやすい、といった特徴を持つ交通機関です。2台以上の車両を連節すれば、輸送量も増やせます。 21年9月からは、野洲市に設けた専用テストコースでの実証実験を行い、自動運転バスの遠隔監視や信号・踏切との連携、隊列走行時に行う車両間の通信といった要素技術などを検証してきました。 その結果、日本初となる連節バスの自動運転化および自動運転バス車両の隊列走行に成功するなどの成果を得たとして、7月に同コースでの実証実験を終えていました。
この日の報道公開では、連接バスと大型バス、小型バスという3種類の自動運転バスによる隊列走行のデモを実施しました。走行中は車間約15メートル、停止中は約4メートルで制御。2台、ないしは3台のバスが隊列を組み、運転手の制御なしに走行する様は壮観でした。この他、隊列が信号機に近づくと、赤から青に変わるという信号との連携、隊列へのバスの追加・解除なども披露しました。
BRTの自動運転化のメリットについて、JR西日本の担当者は「バスの運転手不足に対応できる。特別な資格を持っていない人でも運行できる仕組みを作りたい」と説明。自動運転バスの隊列走行については、「たとえば先頭のバスは学生の通学、2番目は一般客の移動、最後尾は高齢者の通院に使うなど、運転手を増やすことなく多様な移動ニーズへの対応が可能になる」と語りました。 11月から東広島市で行う予定の実験では、JR西条駅と広島大学東広島キャンパスとを結ぶ県道・市道を使って、自動運転・隊列走行技術の社会実装に向けた課題の検証や洗い出しなどを行う予定です。 (取材・文:具志堅浩二)