高校球界初の大阪偕星学園“ドミニカンコンビ”最後の夏…「めっちゃプロへ行きたい」
高校球界初となる2人の“ドミニカン留学生”が最後の夏に燃えている。今日16日開幕の「第103回全国高校野球選手権大阪大会」に大阪偕星学園の主将で、右の大砲、ダビット・バゥティスタ・モレノ外野手(3年)と、右腕エースのワーネル・マニュエル・リンコーン・デ・ラ・クルーズ投手(3年)がスタンバイ。投打の柱として憧れの甲子園を目指す。今日の1回戦、三国丘戦(住之江)から大暴れの予感がする。
日本語も堪能。通算16発の怪力ダビットが主将
あれからちょうど1年になる。梅雨の晴れ間。大阪・富田林市の高台にある大阪偕星学園の野球部グラウンドを訪れると、記者冥利に尽きる瞬間に出くわした。練習後、何と、2人のドミニカン留学生が、「お久しぶりです」「お疲れさまです」ととびっきりの笑顔で迎えてくれたのだ。 新型コロナの感染予防のためひじタッチでのあいさつ。人懐っこい笑顔と礼儀正しさは変わらないが、2人ともすっかり日本語がうまくなり、いつの間にか“お世辞”まで覚えたようだ。 「僕たちのことを初めて(記事に)書いてくれたこと、覚えています。とても感謝しています」 体もひと回り大きくなっていた。 「ダビ」ことダビットは178センチ、96キロと数字はほとんど変わらなかったが、分厚い胸板は健在で、二の腕は、はち切れんばかり。一方の「ワナ」ことワーネルも身長は173センチのままながら体重は3キロ増の73キロ。きゃしゃだった体は厚みを増し、肩周りがたくましい。 「あれからウエートトレをめっちゃやりました」 ワナはシャイな部分も影を潜め、しっかりと自己PRするように。1年前は翻訳アプリを使っての取材だったが、もうその必要はなかった。 2018年11月に来日し、東京で初めて見た雪に驚いたのも今や昔。19年6月の入学から月日は流れ、日本の文化、生活、野球にもすっかりなじんでいる。 何しろ、ダビットは新チーム始動時に前任の山本監督(現岡山・倉敷監督)から迷わず主将に指名されたほど。3月から指揮を執る同校OBの長谷部元伸監督(59)も「背中で引っ張る昔ながらのキャプテン。ときに“やる気ないならどけ! ノックに入るな”とチームメートにカツを入れるときもありますよ」と、そのリーダーシップには目を見張る。