高校球界初の大阪偕星学園“ドミニカンコンビ”最後の夏…「めっちゃプロへ行きたい」
研究熱心さは変わりなく、「頭の動かない」巨人の丸佳浩に心酔する一方、同じ右打者でもある阪神のジェフリー・マルテにも注目。今年5月からバットの構えを低くし、ノーステップ打法にしたことなどを身ぶり手ぶりをまじえて説明してくれた。 「打撃フォームを変えたのは変化球に対応できるように。体重を後ろに残して打っている。丸選手とマルテ選手の動画はいつも見ています」 新チームから4番を任されており、高校通算本塁打はここまで16本。第68回私学総合体育大会2回戦となった6月6日の関大一戦(大阪偕星グラウンド)で中越え本塁打を放つなど、5月を境に量産しており、本人は「最後の大会は5本ぐらい打ちたい」と自信ありげだった。 一方、ワーネルは、母国では遊撃手として身体能力の高さを評価されていた。投手に転向したのは来日してからで経験は浅い。だが、手足の長さを生かし、リリースポイントが打者に近いしなやかなフォームが自慢の右腕だ。 「直したらいい部分もあるけれど、いまは良さを生かす考え。しっかりしているので調整もほとんど本人に任せている」と、長谷部監督。 ワーネルもまた研究熱心で投球フォームを目の前で実演し、取り組んだポイントを熱弁した。以前は「足を普通に上げて、そのまま普通に投げていた」というが、それだと「リリースがバラバラでコントロールが悪かった」という。そこで軸となる右足に体重を残し、左足をトルネード風にしてタメをつくるフォームに変えたことで、「スピードがアップし、コントロールも良くなった」との手応えをつかんだ。筆者が、「一石二鳥だね」と言うと、2人とも、この四字熟語に興味を示し、説明すると笑顔で納得。ちなみに2人とも「国語は苦手、数学と英語が得意」だという。 長谷部監督は、大会に向けた背番号伝達式で、公式戦登板のほとんどないワーネルにエースナンバーの背番号「1」を渡したことを明かした。ワーネルに、そのときの心境を聞くと「うれしかった。でも、責任もある」。エースナンバー奪取のひとつの決め手になったのが、ダビットが一発を放った6月6日の関大一戦だという。 ワーネルは、練習メニューのひとつの縄跳びで左足を軽く捻挫し、万全ではなかったそうだが、初回を3連続三振に仕留め、2回を終わって5奪三振。3回のセーフティーバントの処理で左足に違和感を覚えたため、途中降板したが、あらためて能力の高さをアピールした。最速は昨夏の時点で141キロ。最近は計測していないそうだが長谷部監督によると「150キロ近く出ている」と言う。