死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文4)北九州市はクラスター班が調査中
前向き調査の比重が小さいのではないか
テレビ朝日:すいません、Skypeで最後のご質問です。L.C.M.PRESSのおしどりさんからです。クラスター調査の前向き調査の比重が小さいのではないでしょうか。十分だったという評価でしょうか。 押谷:それはどこまで何に比重を置くかということで、接触者の範囲とかっていうこともあって、例えば非常に多くの人に接触する人たちもいるわけですね。数十人から100人を超えるような人たちに接触しているような人たちもいて、それをじゃあどこまで前向きに追っていくべきなのかと。これをどこまでもやると、非常にまた保健所が疲弊することになるので。 一方で先ほど言ったように、ここで感染者が見つかる可能性はそんなに高くないということを考えると、それをどういうフォーカスで、余裕があれば前向きにある程度やってもいいんですけれども、特に非常に厳しい状況に、かなりのたくさんの保健所が置かれてしまったので、そういうときにどこまで前向きの調査に力点を置くべきか。何百人も接触者がいる、数十人の感染者が出て、感染者がどんどん増えていくと接触者は雪だるま式に増えていきます。その接触者調査を全部やるということは、実質上できなくなってくるので、感染者が増えてくると。そこはバランスを取らなきゃいけないことで、そこの部分はある程度見逃しても、この感染症は多くの人が誰にも感染させてないので、見逃しが仮に起きたとしてもかなりの確率でその感染連鎖は消えます。 そういうことを考えても、そこにどこまでフォーカスするのか、それは全部の接触者を確実に追えというと保健所は疲弊するだけです。そういうこともやっぱり一方で考えなきゃいけないことなんだというふうに思います。
濃厚接触者の無症状者も検査すべきでは
テレビ朝日:ありがとうございます。すいません、おしどりさんからもう1点質問が来ています。濃厚接触者の有症状者は検査をし、濃厚接触者の無症状者は検査をしないという体制でしたが、北九州市で濃厚接触者の無症状者を検査し、陽性者が多く出ています。濃厚接触者の無症状者も検査するという選択肢は感染拡大防止に効果があったのではないでしょうか。 鈴木:濃厚接触者に関しては、検査をする・しないに限らず、14日間の自宅待機をお願いしている状況です。そうした意味で検査が陽性なのか陰性なのかにかかわらず、自宅待機である限りそのほかの方々に感染させるリスクは低いと考えています。 ただ一方で、濃厚接触者に対して検査をするのかどうかに関して、確かにいわゆる実施要項上では症状が出たときに検査をしますということで、これまで文章上はそのように書かれていますが、実際の現場、現場での判断でケース・バイ・ケースで全員に検査をするといったことも自治体ではされてきていたということです。 一方、これから先ですけれども、基本的に濃厚接触者と定義された場合には、これも現場レベルの判断にはなりますが、原則的にはPCR検査を行っていくという方針になっていくものと承知しております。以上です。 押谷:PCR検査に関してはたぶんいろんな誤解があるんだと思いますけれども、症状のある人でもそこまで感度が高い、全ての感染者を見つけられるわけではなくて、特に症状のない人に関してはいったいどのくらいの感度でPCR検査で感染者が見つかるかということはよく分かっていません。おそらくそんなに高くないです。 発症した人に関しては、発症してすぐぐらいにかなりの感度でPCRは出るということは分かっていますけれども、だけれども、無症状の人はいつ感染したか分からないわけですね。そうすると、もうおそらく毎日PCRをするというようなことをしない限りは、効率良くそういう人たちを検出することはできないはずなので、そういうことも考えるとどこまでやるのか、余裕があっていろんな、今後抗原検査とかが出てきて、そういう幾つかのオプションは広がってくるんだと思いますけれども、今までの状況でそこまでやることが本当に正しい選択なのかということは十分に検討する必要があるんだと思います。 テレビ朝日:ありがとうございます。押谷先生、すいません、遅くまで。ありがとうございました。では会場内の質問に戻らせていただいて、全体の質問を受け付けます。よろしくお願いします。