死者少ない要因は 専門家会議が会見(全文4)北九州市はクラスター班が調査中
感染させない人とさせる人とは何が違うのか
テレビ朝日:じゃあまず、東洋経済の岡田さんからのご質問です。感染者の5人に4人はほかの人に感染させないとのことですが、感染させない人とさせる人の間でどこに違いがあるのでしょうか。積極的疫学調査、または臨床研究により何が分かったのでしょうか。お願いします。 押谷:これはある程度分かっている部分とまだまだ分かってない部分があります。感染性が何によって規定されるのかというのは幾つかデータは出てきています。1つは年齢にある程度依存するんじゃないかと。高齢になればなるほど感染性が増すんじゃないかというようなデータが出ています。それがもしかすると高齢者施設とか院内感染、特に高齢者が多く入院しているような院内感染が起こりやすいということなのかもしれないということは考えられます。 実はこのウイルスは、SARSの場合には下気道とわれわれは呼んでいますけれども、肺の中で主にウイルスが増殖していた。あまり喉とかのサンプルを採ってもウイルスが陽性になることは少なかったです。陽性率は低かった。今回の場合も、そういう人たちもたぶんいるんだと思います。肺で主にウイルスが増殖していて、上気道、喉とかそういうところではあまりウイルスが出ない。そういう人たちはあまり感染性を持たない。 一方でSARSとは違って肺の中でも増えるし、喉でも増えるというような人たちもおそらくいるんだろうと。そういう高齢者とか重症化するような人たちは肺炎を起こすし、しかもほかの人たちもうつすことがある。それと同時に肺の中のウイルスが外に出るのかもしれないし、そこら辺のところがよく分かってないところがあるんですけれども。 あともう1つ大きな特徴は、どうも肺炎はそんなに起こさないけれども、それが本当に肺でウイルスが増殖してないのかどうかということはよく分からないところがあるんですけれども、あまり症状は強くない。重症な肺炎は起こさないけれども上気道ではよくウイルスが増えているというような人たちが一部いる。たぶん例外的にいる人たちなんじゃないかとわれわれは考えているんですけれども、そういう人たちは自分があまり症状がなくて、気が付かないままに自分が感染して、気が付かないままにほかの人たちに感染を広げてしまう。そういう人たちはあまり症状がないので、むしろ活動もあまり制限しないで、病院とかにいる人ではなくて、社会の中で活動している人たちがそういう状況になると、より多くの人に感染をさせてしまうと。おそらくそういうことがあるんじゃないかということが、われわれの解析では少しずつ分かってきていることです。