アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイが造船に携わった「美しき フィッシング ボート」。この船が 海の男たちを魅了し続けてきた理由とは?
ヴィンテージのカスタム船は、「大きさ」ではなく、「造られた順番」で呼ばれる
―― もともと、ヘミングウェイが関わった船というのは知っていたのですか? 吉原 日本に帰ってきてBOTY実行委員長の山﨑さんの記事を見るまでは、TWENTYがヘミングウェイに関係しているってことも知りませんでした。 この船は、初代のオーナーとヘミングウェイが友人で、ヘミングウェイのアドバイスを受けて造ったそうです。 ―― 「TWENTY」という船名は、吉原さんが付けたのですか? 吉原 “TWENTY”っていうのは、「Rybovich & Sons(以下、ライボビッチ)」で造られた20番目ということ。 FRPの船と違ってカスタム船っていうのは、大きさで表現するんじゃない。 「ハルナンバーがいくつ」「何番目に造られた船を持っている」っていう表現をするんです。 分かりやすく言うと「エンツォ・フェラーリの何番目、車体ナンバー何番を俺は持っているよ」ということです。 メリットとかライボビッチの船は、40フィートでも50フィートでも60フィートでも、大きさは関係ない。「オレは何番目を持っている」って言います。 ―― 大きさではなく、造られた順番が船名になるのですか? 吉原 この船は建造時「Three Rings」っていう名前でした。 最初のオーナーは、Carl Badenhausen(カール・バーデンハウゼン)といって、Ballentine Brewing(バランタイン・ブルーイング)っていうビール会社の会長でした。そのバランタインのロゴが絡み合った3つの輪で、それで「Three Rings」。
アメリカ人にとって「ライボビッチは特別な船」
―― ライボビッチは、歴史のある造船所なのですね。 吉原 アメリカでは、「ライボビッチ」と「メリット(MERRIT)」の船は、フィッシングボートのなかでもトップツーの位置付けです。 アメリカの人に言わせると、「メリットは別格」。 でも「ライボビッチは特別だ」って表現をします。 「ライボビッチ」を持つことの喜び、持っていられることの喜びということです。 ライボビッチって歴史なんですよ。知らなかったんですけど、僕が買ったとき、アメリカでは「日本人がライボビッチを買ったらしいぞ」って話題になったみたいです。 ―― アメリカ人でも、そうそう手を出さない船なのですね? 吉原 古い船になると、アメリカ人もなかなか手を出さない。 それを日本に持って行ったって、「どうせ面倒を見きれないだろう」っていうのが、彼らの言い方でした。 でも、「いやいや、そんなことはない」って僕は思っていた。日本人は手先が器用だし、日本だってちゃんとやればできる。 ただ、この船に関して言えばやり方が分からなかったから、そこは大変でした。 ―― 船の素材的に大変ということですか? 吉岡 この船の材質は「マホガニー」です。 手入れの方法も、アメリカと日本では違います。例えば、木の部分はニスを塗るんですが、日本だとたいていウレタン塗装しちゃう。これがダメなんです。 世界的にいうと、それは非常識。 なぜかというと、硬すぎて割れちゃうから。 世界では基本、どこに行ってもニスを塗ります。でも、最初はそんなことも分からなかったから、全部聞くしかないじゃないですか。
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