こういった事故の場合、どのような“罪”に問われるのか?「当て逃げ…」衝突した船が、被害者を救助せず 立ち去る!【熊本・天草】
ミニボートの船長が、自ら海に飛び込んで難を逃れた
10月14日午前9時40分ごろ、熊本上天草市の沖合で小型船舶とミニボートが衝突する事故が起こった。 海上保安部によると、事故現場は、上天草市の樋島港から約170メートルの沖合。 近くで釣りをしていた人から「樋島港付近で小型船同士が衝突した。ミニボートに乗っていた人が海に投げ出された」などと、複数の118番通報があった。 衝突したのは、小型船と長さ約2.7メートルの釣り用のミニボートだ。 ミニボートに乗っていたのは、熊本県宇城市に住む50代の男性で、海上で停止した状態で釣りをしていた。 自分の方に小型船が近づいてくるのに気が付いた男性は、手を振って「自分がここにいる」と知らせたが、そのまま小型船が接近してきた。 50代の男性は、衝突する前に海に飛び込んだためケガはなかったが、乗っていたボートは亀裂が入り、浸水してしまった。 その後、男性は漁協職員の船に救助された。 事故当時の天気は曇りで、視界も良好だったという。 衝突した小型船は北東に向かって逃走し、現在も見つかっていない。 海上保安部は、「当て逃げ」の可能性もあるとみて、行方を追っている。
こういった事故の場合、どのような罪に問われるのか?
船舶同士の衝突による事故で、片方が落水し、それを放置して立ち去った場合、どのような罪に問われるのだろうか。 今回の事故の場合、ぶつかる直前にミニボートの男性は自ら水に飛び込んで難を逃れているが、ボートに亀裂が入っているため、どう考えても自力で陸へは戻れない。小型船側には「救護義務」が生じるはずが、それを怠って逃走しているのだ。 「救護義務違反」では、被害者を救護せずに事故現場から「立ち去った」ことが問題となる。これが陸上の事故なら、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられる。 問題は、これが「海の上で起きた事故」であることだ。
水の上の事故は立証が難しい
あきかに殺意を抱いていてミニボートに接触したことが確認できれば、「殺人未遂」のような重罪に問われるかもしれないが、水面での事故の場合、立証が難しい。 自動車事故なら、現場に残ったブレーキ痕や、被害者側の車に残る、相手の車の塗料などから判別は可能だ。 しかし、海の事故では軌跡も残らないし、塗料などの証拠が水で流れてしまうこともある。時間が経てばなおさらだ。 小型船にミニボートと接触した痕跡が残っていても、桟橋などへの接触で付いた傷と同化してしまう可能性もある。 今回の事故も、「どのような罪に問われるのか?」と管轄の海上保安部に話を聞いたところ、「現在、この事故に適切に対応中です。全ては、逃走中の小型船を発見し、話を聞いてからでなければ判断やお答えはできません」と言うものであった。
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