日銀・黒田総裁会見4月28日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
連続指し値オペ運用の明確化を盛り込んだ理由は
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。今回は連続指し値オペの運用の明確化というのが盛り込まれています。これは日銀として金融緩和継続の姿勢をあらためて明確にされたということなのかもしれませんけれども、先ほど為替1ドル130円を超えました。実際にこういう文言を盛り込むことによって、円安容認と受け止められて、円安を加速させる可能性があるというのも認識なさった上でのことだと思うんですが、あえてこの文言を盛り込んだ理由というのを教えてください。 そしてもう1点ですが、今、総裁としても円安のメリット・デメリットのバランスをご覧になっているところだと思います。以前、2015年の6月、総裁自らがさらに円安に振れていくことはありそうにないとおっしゃったときが125円前後でしたから、そこから比べても5円ほど円安が進んでいる状況です。まだ、この水準でも日本経済にとってはメリットのほうが大きいとみていらっしゃいますか。メリット・デメリットのバランスが変わっていくのっていうのがどのぐらいの水準、もしくはどういう状況だとみていらっしゃるでしょうか。お願いします。 黒田:まず今回、いわゆる指値オペについて明確化したというのは、指値オペ自体が何か変化するっていうことではなくて、あくまでも従来から申し上げている10年物国債金利が0%程度という、イールドカーブ・コントロールの操作目標の下で金融市場調節を実施しておりまして、昨年3月の点検でも、長期金利の変動幅は上下にプラスマイナス0.25%程度であるということを明確化したわけであります。
スタンスの明確化が市場の不安定性を減じることにつながる
今後とも、日本銀行としてはこうした金融市場調節方針を実現するように、上限を設けず、必要な金額の長期国債の買い入れを行っていきますし、その際、海外要因などによって、長期金利に上昇圧力が掛かった場合でも、金利変動幅の上限をしっかり画する観点から、10年物国債金利について0.25%での指値オペを明らかに応札が見込まれない場合を除いて、毎営業日、実施するということにしたわけであります。 これは金融資本市場の一部で、このオペ実施の有無から日本銀行の政策スタンスを推し量ろうというような動きも見られていたわけですけれども、そうした臆測を払拭して、日本銀行の従来からのスタンスを明確にするということが、市場の不安定性を減じることにつながるというふうに考えて行ったわけであります。 為替レートの問題につきましては、従来から申し上げているように、為替相場の水準について、いろんなことを具体的に言うのは差し控えておりまして、あくまでも為替相場は経済・金融のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが望ましいというふうに考えております。そうした意味で、為替相場が短期間に過度に変動するということになると、先行きの不確実性を高めて、企業の事業計画の策定などが難しくなる面がありますので、今申し上げたような考え方に沿って、日本銀行としては為替相場の変動が経済・物価に与える影響を十分注視して見ていきたいと思っております。 なお、現状、全体として円安がプラスという評価を変えたわけではありませんが、過度に急激な変動は、今申し上げたように、不確実性の高まりを通じてマイナスに作用するということも考慮する必要があるというふうに考えております。