日銀・黒田総裁会見4月28日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
物価上昇率が2%を超えるまで拡大方針を継続
リスク要因としては引き続き変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要です。また、今後のウクライナ情勢の展開や、その下での資源価格や国際金融資本市場、海外経済の動向についても不確実性は極めて高いと考えています。その上で、経済見通しのリスクバランスについては、当面は感染症やウクライナ情勢の影響を主因に下振れリスクのほうが大きくなっていますが、その後はおおむね上下にバランスしているとみています。物価見通しについては、当面はエネルギー価格を巡る不確実性などを反映して、上振れリスクのほうが大きくなっていますが、その後はおおむね上下にバランスしているとみています。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。その上で当面、感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と、金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。以上です。
2%超の物価上昇続けば、出口の議論始めるのか
共同通信:幹事社から2問目、お伺いいたします。資源高や円安の影響で、4月以降、生鮮食品を除くCPIは2%程度の伸びが当面続くというふうに見込まれていますけども、こうした物価上昇というのはコストプッシュ型で賃金とか期待インフレ率の伸びを伴わないとの見方が多いと思いますけども、仮にこうした形で2%を上回る物価上昇が続いても、金融緩和の修正であったり、いわゆる出口の議論を始めることにはならないのか。また、物価上昇は一時的とか、今までおっしゃってましたが、そのご認識も含めてお聞かせください。 黒田:今回の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値を見ますと、消費者物価の前年比は携帯電話通信料下落の影響が剥落する2022年度にはいったん2%程度まで上昇率を高めますが、その後は1%強までプラス幅を縮小すると予想しております。このように2%程度の上昇率が持続しないのは、第1に海外中銀や国際機関と同様、原油等の資源価格が見通し期間を通じて上昇を続けるとは想定しておらず、その下でガソリンや電気代等のエネルギー規格の物価押し上げ寄与は、先行き減衰していくと見込んでいるためであります。 第2に、資源輸入国であるわが国にとっては、最近の資源価格の上昇は海外への所得流出につながるため、経済にマイナスに作用し、ひいては基調的な物価上昇率に対しても下押し圧力をもたらすと考えられます。こうした物価見通しを踏まえますと、企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2%目標は安定的に実現するまでにはなお時間を要すると思われます。従って、経済を下支えし、基調的な物価上昇率を引き上げていく観点から、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが適当だと考えております。 共同通信:あと、幹事からもう1つお伺いします。本日も為替が130円を一時超えましたけども、最近の円安っていうのは日米の金融政策の違いが一因となってて、市場の一部にはいずれ日銀は円安を是正するために金融緩和の修正に動くのではないかという【感覚 00:13:19】がいまだに根強くあります。もちろん、金融政策っていうのは為替を目的にしていないっていうのは重々承知しているんですけども、さらに円安が進んでも金融政策を見直すお考えはないというのかというのが1点と、また最近の急速な変動の影響を踏まえて、今後さらに円安が進んでも日本経済にとってプラスというお考えは変わりはないのかということを教えてください。