日銀・黒田総裁会見4月28日(全文1)量的・質的金融緩和を継続
当面の物価上昇は持続性に乏しい
黒田:先ほどご説明しましたとおり、わが国の経済は感染症からの回復途上にある上、最近はウクライナ情勢に伴う資源価格上昇による下押し圧力も受けております。また、当面の物価上昇はエネルギー価格の上昇が主因であり、持続性に乏しいと考えております。こうした経済・物価情勢を踏まえますと、2%目標の持続的、安定的な実現を目指す観点から、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、経済活動をしっかりと支えていく必要があると考えております。 為替については、いつも申し上げているとおり、為替相場は経済、金融のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが望ましいと考えております。この点、最近見られるような為替市場における短期間での過度の変動は、先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定等を難しくする面もあります。日本銀行としては為替相場の変動が、経済・物価に与える影響を十分注意して見ていく所存であります。 共同通信:各社さん、お願いします。
政策運営の難しさをどう感じているのか
日本経済新聞:すいません。マーケットニュースの【イノウエ 00:15:09】と申します。中央銀行というのはそれぞれの自国の経済・物価に合わせた金融政策を運営されてるかと思うんですけど、日米欧で金融緩和が行われてるときっていうのはそんなに問題がなかったかと思うんですけども、現状のように欧米で金利引き上げ、一方、日銀は金融緩和を続けてる中で、方向性が違う中での日銀の政策運営の難しさというか、緩和効果のプラスマイナスが考えられると思うんですけども、その辺をどんな感じでみていらっしゃるかお伺いしたいんですけど、よろしくお願いいたします。 黒田:いつも申し上げてるとおり、また質問された方も認めておられるように、各国の金融政策というのはそれぞれの国の経済・物価情勢に即応した政策を取ってるわけであります。ご承知のとおり、米国では消費者物価上昇率が8.5%程度になり、欧州でももう7.4%かなんかになってるということで、わが国の場合、足元0.8%ということであります。そういった物価、あるいは経済も欧米の場合はすでにコロナ前の水準を回復しておりますけども、残念ながら日本経済はまだコロナ前の水準を回復しておらず、回復途上にあるということであります。 従いましてそうしたことを反映して、欧米の中央銀行は金融の正常化というか、金利の引き上げをしようということになっているわけですけれども、わが国の場合は経済状況、物価状況から見て、そういった状況にないわけでして、先ほどより申し上げているように、引き続き粘り強く金融緩和を続けることによって経済の回復を助けると、支援するということが最も重要であるというふうに考えております。 そういう意味で何か特に、金融政策が困難になるということはないと思います。それぞれの金融政策は、それぞれの国の直面する経済・物価情勢に対して、どのように対応するかっていうことが、いわば困難さというか、重要なわけでして、ほかの国と同じ金融政策をやっているから容易であるとか、違うと大変だというようなことはありません。