FRBハイペース利上げ観測、株式への影響は? ポイントは「積極利上げが終わるタイミング」
米連邦準備制度理事会(FRB)が5月3日、4日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを決定することが確実視されています。それ以降も異例ともいえる利上げペースが予想される中、株式にはどんな影響が考えられるのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。 【グラフ】米長期金利が高止まりでもなぜ株価が上昇基調なのか?
6月以降も0.5%利上げ継続示唆か
政策金利予想を反映するFF金利先物は、現時点で米国の債券市場参加者が5月、6月、7月FOMCにおいて3回連続の50ベーシスポイント(bp)利上げが実施されることを完全に織り込み、9月も50bpの利上げが濃厚であることを想定している水準にあります。 2000年代に入って以後、米国の政策金利の変更幅は25bpが通例でしたが、高インフレに直面した今回は異例のペースで政策金利が引き上げられるとの見方が支配的になりつつあります。また後述するように、今後75bpの利上げが現実味を帯びる可能性もあり、年末時点までの利上げ予想回数(25bp換算)は10回近くにまで高まっています。 このような形で金融市場参加者が前のめり気味に織り込んだ予想を、FRBが追認することでコンセンサスを完成させるのが最近のパターンです。それに従えば、FRBは5月FOMCで50bpの利上げを決定すると同時に次回以降の複数回のFOMCにおいて50bp(以上)の利上げが継続することを示唆する可能性が高いと考えられます。
利上げ幅「0.75%」もあり得る?
なお、最近話題になっている75bp利上げについてはブラード・セントルイス連銀総裁の他に賛意を示している参加者は現れておらず、5月FOMCでその決定が下される可能性は現時点で低いと判断しています。 4月21日時点でパウエル議長が50bpの利上げを支持する考えを示しているほか、タカ派(金融引き締めに積極的)で知られるメスター・クリーブランド連銀総裁ですら22日時点で「大幅な動きを決定することは正しい方法とは思えない」として「現時点でそこまでする必要はない」との見解を示していました。3月に25bpの利上げをした直後に(4月はFOMCの開催がない)、5月に75bpの利上げを敢行するのはさすがに唐突感が強いとの判断でしょう。 もっとも6月FOMCと7月FOMCに向けてFRBが75bp利上げに前向きな姿勢を示す可能性は否定できず、その点、5月FOMC後の記者会見で何らかの情報発信があっても不思議ではありません。5月FOMCの結果が予想通りになったとしても、記者会見などで「75bp利上げの示唆」があれば、金融市場参加者はサプライズとして受け止めるでしょう。仮に75bp利上げに対して前向きな姿勢が垣間見えた場合、初期反応としては金利上昇・株価下落が予想されます。