「必死でやらなきゃ売れない」呪縛があった――33歳でがんになった漫画家・真造圭伍の休み方
まさか33歳でがんになるなんて――。漫画家・真造圭伍(36)は33歳の時、耳の下のできものが気になって病院に行ったところ、悪性リンパ腫と判明。体調の変化は感じておらず、連載も執筆中だった。抗がん剤治療で入院しながら、「普通に過ごせるって、幸せなんだ」という思いを込めて新しい漫画を描き、それが次の連載に。寛解後の今は、締め切りに追われる連載の執筆と健康な生活をどう両立しているのか。働くこと、休むことについて聞いた。(撮影:西田香織/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/文中敬称略)
体調不良だったわけではなかった 突然の闘病生活
「がんだって分かった瞬間は……まあ、がーんです(笑)。一瞬、目の前が暗くなるみたいな感じがやっぱりありましたね」 2020年3月、真造圭伍は耳鼻科に行った。2年ほど左耳の下にしこりのようなできものがあり、痛みもないので放っておいたが、ちょっとずつ大きくなっている気がしたのだ。 「耳鼻科で『よく分からない』と言われて、総合病院に行ったら『腫瘍かもしれない』って。切除しづらい場所にあるからもっと大きい病院へ、ということで、今度は大学病院に。『9割は良性ですよ』と言われたけど、手術して腫瘍を取った直後、悪性リンパ腫でした、と。それまで体調不良だったわけではないので、自分とは関係のないところで、勝手にがんができたみたいな感覚でした」
悪性リンパ腫は血液のがんで、免疫をつかさどるリンパ球が悪性化したもの。検査の結果、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」のステージ1だと分かった。 「最初はネットでいろいろ検索しちゃいましたね。同じ病気で闘病されている方のSNSを見て、つらそうな様子にすごい落ち込んだり。担当医の方に『死ぬ可能性ありますか』って聞いちゃったんです。そしたらその先生が『天寿をまっとうすること以外、僕は考えない』とおっしゃって。質問にも全部分かりやすく答えてくれて、その先生の素晴らしさに助けられました」 手術後にいったん退院し、約1カ月後から抗がん剤治療をスタート。当時「月刊モーニングtwo」で連載中だった『ノラと雑草』を一時中断した。 「抗がん剤治療は3クール。まずは抗がん剤を投与して、その後、2週間くらい様子を見る。その3週間くらいで1クールです。この辺りで髪の毛がボロボロ抜けるので、坊主にしました。だいたい2カ月くらいやって、そこから通院で放射線治療を約1カ月。もっと壮絶な治療が待ち受けているのかと思ったけど、そんなことはなくて。ダルさと便秘くらいでした。ステージ1で見つかったからですが」