「必死でやらなきゃ売れない」呪縛があった――33歳でがんになった漫画家・真造圭伍の休み方
「必死でやらなきゃ売れない」みたいな呪縛があった
治療を終えて、2020年11月に悪性リンパ腫が寛解。『ひらやすみ』の連載は翌2021年4月にスタートした。働き方は以前とはずいぶん変わったという。 「徹夜はしなくなりましたね。前に週刊連載やってる時は大変だったし、『必死でやらなきゃ売れない』みたいな呪縛があった。昔の作家に対する憧れもあって、飯もカップラーメンをかき込んで、家事とかしないで追い込むのが漫画家らしい、というか。今は8時ぐらいに起きて朝ご飯食べて、いろいろ家事して、10時から作画。昼ご飯食べて買い物へ行ったりして、午後は作画して、8時9時ぐらいに夕飯。その後はほぼやらないかな。前はシャワーが多かったのですが、毎晩風呂に入るようになりました。あと、意図的に休みを入れるようにもなりました」 週刊連載は「できていない」と笑う。 「相当休ませてもらっちゃってるんですよ。ネガティブな性格なので、ストレスを抱えると、またここ(耳の下)にポコッとできるんじゃないかなって。今もだいたい3カ月ごとに検査をするんですが、最悪な状況を想像して、『再発したんで入院です』って言われることを考えて挑んでいます。9割良性って言われていたのに悪性だったりしたから、不安はありますよね。悪性リンパ腫は原因不明だと言われて、まあ運なのかなって。だからなっちゃってもしょうがないし、なるべく早く気づけるように、何か異常を感じたら病院に行ったほうがいいんじゃないかな」
働き盛りの30代に、突然病気と向き合うことになった。がんばることと休むことは両立できるのか――。これからの働き方を考えるなかで、主治医の言葉に影響を受けたという。 「『自分はあんまり無理しちゃいけないですよね?』って主治医の先生に聞いたんです。そしたら、『いや、いいでしょう。30代なんて、無理してがんばるぐらいがちょうどいいんじゃないですか』って。治療中に、僕が家で薬の量を間違えてしまった時があって。これでもう治らないんじゃないかってすごくショックを受けてしまった。その時に先生が、『人は失敗するものだから大丈夫です。次からちゃんとやればいいんです』って言ってくれたんです。そこからは『失敗するもんだよね』みたいな気持ちになれました。がんばる時はがんばるし、できない時はできないっていうぐらいでいいんじゃないのかなと今は思うんですよね」