自分の扱いに不満を感じても、現実を受け入れます――関根勤69歳、脱・老害のために必要なこと
口を開けば自慢話に終始し、自分の価値観を押し付け、何かと怒りっぽくなる高齢者--。昨今、このような特徴を持つ人たちは『老害』と呼ばれ、特に若者から忌み嫌われている。69歳の現在も芸能界の一線で活躍し、若手からも慕われている関根勤は老害と真逆の位置にいる。時代の変化に対応し、マウンティングせず、決して怒りを見せない“大人の余裕”を持てる秘訣とは。(文:岡野誠/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
客席の女性に「バーカ」って言っちゃった
「でもね、僕も長い芸能生活の中でお客さんにキレたことあるんですよ。最大の失言でした」 『笑っていいとも!』(フジテレビ)のレギュラーだった関根は放送終了後、スタジオアルタでアフタートークをしていた。タモリが「関根君のものまねマニアックだよね~。(ボクシング元世界チャンピオンの)浜田剛史さんやるよね」と振った。「ああ、わかんないかもしれないですけど、いきますね」と前置きし、「やはりチャベスのぉ、左フックがぁ」と動きを加えながら真似をした関根。すると、客席の女性が「似てね~」と声を上げた。 「謝ろうと思ったの。ものまねに自信なかったし、若いのに浜田剛史さんを知ってるって凄いですよ。『あんまり似てなかったね。ごめんね』って言おうとしたの。それで、『浜田剛史さん、知ってるの?』って聞いたら、『浜田省吾なら知ってる~』って能天気に言われた。あまりのギャップに『バーカ』って言っちゃったんですよ」 会場は笑いに包まれた。揶揄する若い女性の一言に、他の観覧客も違和感を覚えていたのだ。 「まあでも、失敗したと思いましたよ。言っちゃダメじゃないですか。お客さんに『バーカ』って(笑)。『浜田省吾のほうか~!』って返せばいいのに。(アフタートークを含む)『いいとも増刊号』(フジテレビ)のオンエアを見た吉本の若手に『関根さんって怖いんですね』と言われました」
自分の扱いに不満を感じても、現実を受け入れます
この件を除けば、基本的に温和に過ごしてきたという関根。仕事現場で「怒る」ことについてどう考えているのだろうか。 「尊厳を傷つけられたと感じたら、キレてもいいのかもしれません。でも、本当は怒らなくてもいいんだよな。僕は自分の扱いに不満を感じても、現実を受け入れます。以前ね、(明石家)さんまさんの特番に行ったら、18歳ぐらいの女の子は個室で、僕は大部屋だったんですよ。『あれ?』って思ったけど、女の子という理由もあるだろうし、自分はまだそこまでの人間じゃないんだなと。だって、さんまさんは個室だし、萩本欽一さんもそうですよね。僕がマイケル・ジャクソンだったら大部屋にはならない。自分の評価は周りが決めることですから」