物価の持続的・安定的上昇に「もう一段の賃上げ必要」日銀・黒田総裁会見7月21日(全文2)
金融機構局から今後のリスクに関してどんな報告があったか
Market News International:すいません。ありがとうございます。Market Newsの【イノウエ 00:41:29】と申します。まず1点、金融システムに関して、今回も総じて安定してるという評価だと思うんですけれども、4月以降、やっぱり米国金利が上がって、日本の金融機関が海外投融資を増やしてる中で、含み損が増加しているとか、国内においては債券売買益がなかなか上がらないとかっていうような状況が考えられると思うんですけど、今回、金融機構局から、今後の注意点というか、またリスクに関してどのような報告があったか、できればお伺いしたいのが1点と、もう1点、先ほどからいわれてる賃金上昇なんですけども、行内でも中堅とか若い人にお伺いすると、日銀もやはり給料を上げてくれないとデフレマインドが払拭できないっていうような声をよく聞くんですけど、その辺は、総裁の気持ちというか、どのようにお考えかお伺いできればと思います。よろしくお願いします。 黒田:第1点につきましては展望レポートでも示されてるとおり、現時点で金融機関の、いわゆる金融システムの安定性っていうのは十分あると。それは資本を十分に持ってるっていうこともありますし、ご指摘の米国の金利上昇による米債の含み損が出るとか、あるいは含み益が減少するとか、そういうことは起こっておりますけれども、われわれ見るところ、その範囲は限定的ですし、少なくとも2021年度、そして2022年度を展望しても、金融システムの安定性に不安が生ずるということはないと思います。 ただ、海外のそういう債券とか株とか、投資信託っていうものの保有を地域金融機関も少し増やしてますので、そういったものに対するリスク管理というものは今後とも引き続きしっかりしていただく必要があるとは思っております。ただ、今の時点で何か金融システムの安定に不安が生じてるっていうことはないと思います。 第2点はちょっとお答えしかねるんですけども、かつて、確かある米国の経済学者が日本に来られて、なかなか賃金が上がんないっていうのを打開するために公務員賃金を先行して上げたらどうかということをいわれたんですが、やはり政府は、それはちょっといかがかと。やはり公務員賃金というのは民間の賃金に準拠して決めていくということになってるということであります。日本銀行の給与も民間に準拠してということですので、民間の賃金が十分上がらないから、先行して日銀の賃金を上げるっていうのは、こういった賃金の決定のメカニズムからいって難しいと思います。