職場の「働かないおじさん」を辞めさせるたった1つの方法
とかくネットで話題になる職場の「働かないおじさん」。働いていないのに、なぜ会社をクビにならないのか? 弁護士に素朴な疑問をぶつけてみた。(イトモス研究所所長 小倉健一) ◇◇◇ 【写真】打倒、働かないおじさん?「45歳定年制」をぶち上げたサントリーの新浪剛史社長 ● 「働かないおじさん」もいれば 「働かないおばさん」もいる 働かないおじさん。どの会社の職場にもいそうな人だ。筆者の会社勤務時代の経験から考えると、たしかに働かないおじさんもいたのだが、働かないおばさんもいるし、働かない若い男女もいた。 しかし、世の中で叩いていいのは「おじさん」のほうだけらしい。Amazonで「働かないおじさん」と検索すると、たくさんの書籍が出てくるのに対して、「働かないおばさん」と検索しても書籍は見当たらない。 ちなみに、「おじさん」とアマゾンを検索するといろいろなコミックなどがヒットするのに対して、「おばさん」と検索するとたくさんのアダルト本やDVDがヒットしてしまった。日本の暗黒面を思い知らされた次第だ。 いずれにしろ、企業にとって、組織にとって不必要となっている人は多い。私自身だって、数年前までいた出版社では少しは役に立っていたのかもしれないが、国会議員の秘書をしていたときなど、ひどいものだった。若気の至り、と総括することも私としては可能だが、雇う側からすれば「生産性が低い」「働かない人」だったのかもしれない。 しかし、日本社会では、会社は労働者をなかなか解雇ができないと言われている。サッサと解雇の金銭解決を可能にしたほうが、労使にとっていいようにも思うが、とにかく組織にしがみついていたい人もいるのだろうから、話は複雑になる。 こうした現状について、顧問先企業を中心に労務問題・セカンドキャリア支援案件を扱う城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士に話を聞いた。
● 「45歳定年制」炎上と 日本の経営者の三重苦 「日本特有の問題として、解雇権濫用法理に基づく解雇制限、不利益変更禁止の原則に基づく減給制限などがあります。加えて、近年では少子高齢化を背景に定年延長などが進められており、経営サイドにとっては三重苦のような状況が発生しています」 「多くの経営者が頭を悩ませているのは間違いありません。とはいえ、サントリーホールディングスの新浪剛史氏が『45歳定年制』発言をしたときの世論の反発をみる限り、現状を変えることは難しいかもしれません」 「働かないおじさん」が自分のチームにいたら非常に迷惑に感じる半面、「明日は我が身」と彼らに同情的な世論も存在している。 東洋経済オンラインの月間アクセスランキング1位になっていた《職場の「働かないおじさん」が隠していた凄い武器》という漫画記事には、典型的な「働かないおじさん」である乙原保(おとはら・たもつ)というキャラクターが登場する。 同僚からは「ろくに仕事していない」「老害って感じじゃん」「だいたい午後は行方不明になる」「デスクの上に堂々と漫画置いてる」「喫茶店でばっかり見かける」などと評判が悪い。 本人も「わたしはあんまり仕事したくないんだよ」「このまま緩く定年を迎えたい」などと言い出す始末。完全に確信犯である。