どこの中銀も「物価安定が目標」日銀・黒田総裁会見7月21日(全文3完)
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の21日午後、記者会見を行った。 ※中継機材不調のため、記者会見の冒頭部を除いて書き起こしを行っております。ご了承ください。 ◇ ◇
デフレで培われた物価感は変化し始めているのか
読売新聞:すみません。読売新聞の【セキネ 00:49:29】でございます。1点伺います。先ほど、ノルム的な話もありましたけれども、日本のこのデフレ、長引いたデフレの中で培われた、この物価感みたいなものっていうのは変化し始めていると思われているのか、それともやはりなかなかまだ脱却できていないようなところがあると受け止めてらっしゃるのか、その辺、ご見解いただけますでしょうか。 黒田:これはなかなか難しい問題なんですが、価格転嫁が少し進んでることは事実なんですけども、それはあくまでも輸入物価の上昇を一部、消費者物価に転嫁しているというだけですので、やはり、安定的・持続的に2%が達成されるためには、全体の物価についてそういった考えが浸透し、特にこの賃金の上昇っていうものが起こってこないと、完全に物価感が変わったとまでは言えないと思いますね。企業の面に、その価格転嫁を進めようっていう動きが出てるっていうことは事実なんですけども、従来の非常に慎重な物価感、賃金、物価に対する考え方、ノルムっていうのが完全に変わったとは見ておりません。まだ不十分だと思っております。
急速な円安を阻止するのは日銀の役割ではないのか
TBSテレビ:すみません。TBS、【シナダ 00:51:09】と申します。黒田総裁、先ほど急速な円安、日本経済に望ましくないということをおっしゃいました。一方で今回、金融政策なかった、変更はなかったということで、あらためてお伺いするんですけど、急速な円安を阻止するのは日銀の役割ではないという認識でよろしいでしょうか。お考えお聞かせください。 黒田:これは、非常に制度的に言えばまったくそのとおりで、為替政策、為替介入、その他は日本も米国も、英国もそうですけども、完全に財務省の権限と責任の下にあるということであります。ただ、もちろん金融政策がさまざまな形で為替に影響することは当然ですし、そういった為替の影響を十分注視しつつ、経済、物価の見通しを立て、それに応じた金融政策を運営するということはどこの中央銀行でもそうですけども、どこの中央銀行でも為替をターゲットにして政策運営しているところはないと思います。あくまでも物価の安定ということを目標にしているということです。どうぞ。