物価の持続的・安定的上昇に「もう一段の賃上げ必要」日銀・黒田総裁会見7月21日(全文2)
豪中銀のレビューに対する所感を聞きたい
東京新聞:東京新聞の皆川と申します。総裁、先ほど、イールドカーブ・コントロールにつきまして、金利を引き上げるつもりも、レンジを変更するつもりもまったくないと、経済をしっかりと支えるとおっしゃいました。一方で、オーストラリアの中銀が、先月、いわゆるイールド・ターゲット政策、YCCを総括するレビューを公表してます。この中で、YCCの出口において、無秩序に市場の混乱を伴い、中央銀行の評判を失墜させた、このように振り返っています。総裁、このレビューをお読みになった所感と、日銀の政策にどのような示唆があるとお考えになるかお聞かせください。 黒田:私、そのレビューを直接、全部読んだわけじゃないんですけども、その話はよく聞いております。ただ、そのレビューについても全体として、このバランスの取れたレビューをしておられるようでして、一方で、なんて言うんでしょうか、短金利の引き下げの余地が限られている状況で、長めの金利を低下させて、経済をサポートするという面で効果を発揮して、極めて有効だったという評価もしてるんですね。その上で、昨年のイールド・ターゲット政策を廃止した前後に混乱が生じたっていうことを認めてるっていうことであります。
YCCを修正する際には参考にしたい
ご指摘のようにオーストラリアの場合は3年金利ということでありますので、この経済の、あるいは物価の改善があって、市場予想、市場【****00:47:17】の予想、政策短金利のバックパスが変化しますとターゲットとする3年金利の変動に直結してしまうということがあって、そこでいろんな混乱も生じたのではないかと思いますので、当方は10年金利を対象としてますので、そういった直結するようなものはありませんので、そういった意味では、変えるときに混乱が生ずるっていうことはないと思いますけれども。 いずれにせよ金融政策、どんな形であれ、緩和政策を正常化していくという過程では欧米の中央銀行も非常に慎重に市場に対する大きな影響が出ないように慎重に進めておりますので、そういった慎重な姿勢というのは十分、私どもとしてもそういった欧米の経験というものは十分、教訓として将来、YCCを2%が達成できるっていうことで、安定的・持続的に達成できるっていうことで、YCCを修正していく、あるいは変えていくっていうときに、当然、参考にしたいというふうに思っています。 幹事社:途中で、すみません。幹事社です。時間が残り少なくなってまいりました。まだ質問ある方は手をあげていただけますか。どうしましょう。 黒田:ちょっとこれだけ。 幹事社:すごいいっぱいいる。 黒田:多いですね。はい、どうぞ。 幹事社:じゃあ、なるべく質問を短く1問ずつで、時間は半で区切ったほうがよろしいですか。 黒田:はい。 幹事社:じゃあ、総裁、次のご予定があるということで、申し訳ありませんが4時半で終了させていただきたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いします。 黒田:どうぞ。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見7月21日 全文3へ続く