「マイクロ飛沫感染」は空気感染ではない 尾身氏「あえて」言及
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は31日、空気中を浮遊する微粒子による「マイクロ飛沫感染」について触れ、「空気感染」とは違うものだと強調。「3密」の環境下で最も起こりやすいため「普通に街を歩いていて起こる可能性は極めて低い」と述べた。 【動画】全国で感染再拡大 コロナ分科会後に西村担当相と尾身会長が会見
3密などの環境下で「起こりやすい」
尾身氏は31日の分科会後に開かれた記者会見の中で、「最近になって『マイクロ飛沫感染』が世界的に注目されている」と切り出した。 新型コロナウイルスの主要な感染経路は(1)飛沫感染(2)接触感染であることが知られているが、7月に入り、世界保健機関(WHO)がエアロゾル(マイクロ飛沫と同義)と感染との関連性について見解を示したほか、海外メディアが米大学の研究者らによる論文について報じている。マイクロ飛沫は5マイクロメートル未満の微粒子とされる。
尾身氏は感染リスクが高い条件は「3密(密閉・密集・密接)」や「大声」だと説明。「さまざまな状況証拠から、『3密』と『大声』の環境では、飛沫感染や接触感染に加え、マイクロ飛沫感染が起こりやすいと考えられている」と述べ、実はこうした知見は専門家会議メンバー間で当時議論されていたことだと明かした。 この日の会見で「あえて」言及したのは、WHOなどで取り上げられたことなどによって、マイクロ飛沫感染が「空気感染と誤解されると困る」(尾身氏)ためだといい、「普通に野外を歩いたり、感染対策が取られている店舗での買い物や食事、十分に換気されている電車での通勤・通学では、マイクロ飛沫感染の可能性は限定的と考えられている」と説明し、過剰な心配は必要ないとの見方を示した。