月額3万円の最強ChatGPTに「電源で音質が変わるか」と聞いたら意外な展開に
オーディオを楽しむ方々のあいだには、そうでない方からすると奇妙に映る「常識」がある。たとえば「電源ケーブルを替えると音質が良くなる」という主張だ。オーディオに精通した人間にとって、これはごくごく当たり前の話である。 【画像】やっぱり?それとも意外?ChatGPT o1 pro modeに、電源ケーブルを替えたら音が変わるか質問したら…? 筆者はPHILE WEBの編集に長く携わってきたが、そこでは電源ケーブルの交換や取り回しをはじめ、電源回りの改善、ホスピタルグレードのコンセント導入、果ては自宅に電柱を立てて電源をクリーンにするという話題までが、当たり前のように語られてきた。 こういった事柄は、オーディオファンでない方々からするとオカルトめいて感じられるかもしれない。だが、この分野で長年活動してきた編集者にとって、これらは「電源で音が変わるのは当然だよね」と、さらっと流してしまう程度の話題に過ぎない。 ■月額なんと200ドル!めちゃめちゃ賢いChatGPT 最強版にオーディオのことを尋ねたら ところで近年、対話型AIが台頭してきた。筆者もChatGPTやClaude、Gemini、Perplexityなどのメジャーどころを活用しているが、最近度肝を抜かれたのが、月額200ドル(日本円で3万円以上)もする超高性能なAI「ChatGPT o1 pro mode」の登場である。 その月額料金は、なんと、これまでの10倍である。非常に高額であるだけに、少し逡巡しながらも登録し、実際に使ってみたら、その賢さに心底驚かされた。 ChatGPT o1 pro modeの能力を人間のIQに換算すると、なんと130を超えているというポストを最近見かけた。確かに、何を質問しても、かなり深く考え込まれた(ように感じられる)回答が返ってくる。中には筆者が気づいていなかった角度からの提案や分析もあり、新たな気づきも得られる。様々な用途に活用できることを考えると、この料金設定はむしろ安いのではないかとすら思えてくる。 こんなに賢いChatGPTの最強バージョンであれば、オーディオについても、我々人間に深い知見を授けてくれるのではないか。そう考え、オーディオにまつわる質問を投げかけてみると、ChatGPT o1 pro modeに対する好感度は一変した。 定番であるところの、「電源ケーブルを替えると音が良くなるか」という質問をChatGPT o1 pro modeにぶつけてみた。その質問と回答は以下の通りだ。 【質問(抜粋)】 「オーディオ機器の電源ケーブルを替えると音質が変わりますか」 【AI回答(抜粋)】 「電源ケーブル交換による音質改善はオーディオ界で長年議論されているが、科学的な証明は難しい。オーディオ機器や環境により微妙な差を感じる人はいるものの、一般的には主観的な要素が強く、確実な差異がいつも認識できるとは限らない。高価なケーブルに替えると「音が良くなった」と感じるのは、投資に対する期待がそうした印象を生み出す可能性も指摘されている」。 おいおい、ちょっと待ってくれよ…。オーディオファンなら、「もちろん変わる」と即答するような事柄である。にもかかわらず、AIは「科学的な証明が難しい」「主観的」といったフラットな視点を提示し、果てはプラセボ効果まで持ち出して、断定を避けている。 多くのオーディオ愛好家にとって、そしてケーブルやアクセサリーそれぞれの音質傾向をレポートしている我々オーディオメディアの編集者にとって、これは到底承服しかねる回答である。我々は長年の経験から、ケーブル1本換えただけで背景がクリアになったり、音場が広がったりする変化を実感している。その実感は、理論よりも感覚的な積み重ねによる「確信」に近い。 しかし、この月額3万円以上する高性能AIは、オーディオファンやメディアが築いてきた「当たり前」をクールに突き返す。AIにはロマンもリスクもなく、ただデータや一般化された知識を冷静に示すだけである。それが「最近のAIは賢い」と言われるゆえんであり、多くの人が耳を傾ける理由にもなっている。 ■オーディオは論理を飛び越えたところに楽しみを見つけ出す人間の特権 では、我々オーディオファン、そしてオーディオ関連メディアの編集者は、この食い違いについてどう考えるべきか。 筆者は、この意見の対立は当然のことであり、むしろAIに対する人間の優位性を示すものだと主張したい。AIが「主観的」「プラセボ」と評するその領域こそ、オーディオという趣味の大事な味わいであるからだ。ブレーカーを換えれば音が激変すると信じ、ホスピタルグレードのコンセントを「当然のチューニング」と考える世界では、耳は数値化できないほど繊細なセンサーとなる。 理論的には説明しづらいものを積み重ねていく中で、オーディオファンは独自のリアリティを築き上げている。それは科学者が首をかしげるほど微妙な差かもしれない。だが、その微妙な差に何年も、何十年もの時間を費やし、また金銭面でも投資を重ねつつ、音楽鑑賞を深めてきた方々がいる。その歴史と情熱が、今のオーディオ文化を支えているのだ。 AIは客観的な指摘を行う。「測定困難」「プラセボの可能性」「個人差」など、あくまで理性的な分析を続ける。一方、人間側は、計測不能な微細さも含めた「肌感覚」を背骨にしている。当然ながら両者は相容れない。 月額3万円を超える高性能AIが「いや、それはプラセボでは?」と言ってきても、オーディオ愛好家はこう答えるだろう。「プラセボだろうが何だろうが、このケーブルに替えた瞬間、いつものCDが違って聴こえたのだ」と。そこには、自らの耳を信じるという人間的な強みがある。 音楽鑑賞はそもそも感性を頼りにした楽しみである。AIが真っ向から否定しないまでも距離を置くような領域こそ、人間の熱狂が宿る場所なのだ。 新しいケーブルを導入して「うん、ちょっとレンジが広がった気がする」と頬を緩める。その瞬間が、人生にどれほど彩りを与えてくれることか。 AIに何がわかる。AIは機知に富んだ回答でバランスを取り、論理的整合性を誇示するだろう。だが人間は、ときにその論理を振り切り、自宅の配線をすべてやり直して悦に入る。どうぞ笑ってくれ、我々はこの楽しみを捨てない。 オーディオ趣味というものは、こうした不安定な領域で光る「かすかな違い」に情熱を注ぐ世界である。その価値は、ハイエンドAIが示すクールな分析をもってしても、決して揺らぐことはない。 少なくとも、ケーブル一本で幸せになれる我々の人生は、案外豊かで美しいものだ。さあ、今日も新しいケーブルが届く。明日はもっといい音がするに違いないと信じながら、我々は機器の交換やセッティングの調整にいそしむのである。 ※この文章は、OpenAIの「ChatGPT o1 pro mode」が執筆したものです。
風間雄介(プロンプト)