J開幕戦で川崎Fが快勝も2ゴールの“寡黙な仕事人”家長が反省を口にした理由とは?
「30歳になって身体能力はもう伸びないけど、パス回しやボールをもらう動きはもっと、もっと成長できると思ってきた。なので、自分も30歳になって再び挑戦したいと決断した。川崎には36歳でMVPを獲得した憲剛さんをはじめとして、見習うべき選手が大勢いるので」 大宮から新天地を川崎に求めた理由を、家長はこう説明したことがある。アカデミーで心技体を磨いたガンバ大阪でプロになったのが、高校3年生だった2004シーズン。以来、大分トリニータ、セレッソ大阪、ラ・リーガのマジョルカ、韓国の蔚山現代、ともに2度目のガンバとマジョルカ、そして大宮と移籍を繰り返してきたのは、より進化した自分自身の姿を常に追い求めてきたからだ。 そして、明確な答えを川崎で見つけた。史上5チーム目となるJ1連覇を達成した2018シーズン。右サイドを主戦場としながら、神出鬼没の動きであらゆるエリアに顔を出し、対戦相手の脅威となり続けた家長はMVPに輝く。受賞のスピーチに万感の思いを凝縮させた。 「日本を代表する選手たちが大勢いるチームへ、自分も挑戦したいと思って飛び込んだ。選手一人ひとりの志も向上心も高い。想像していた以上に多くの刺激をもらえているし、みんなのおかげで僕自身も人としても選手としても成長できた。このチームに入って本当によかった」 もちろん、挑戦の旅路はまだまだ終わらない。記録ずくめの独走で3度目の頂点に立った昨シーズンは、優勝を決めた11月25日のガンバ戦でプロになって初体験となるハットトリックを達成。最終的には11ゴールをあげて、大宮時代の2016シーズン以来、2度目の2桁得点に到達させた。 そして、川崎の一員になって迎えた5年目の戦いの初陣で、家長は再び存在感を放った。ガンバでデビューした2004シーズン以降の4年間を超えて、最も長く同じチームに続けて在籍する寡黙な仕事人は、フィールドプレーヤーで最年長になった心境をこんな言葉に反映させた。 「心境の変化というものは、まだそれほど感じてはいません。ただ、1年間プレーしていくなかでどんどん感じていって、変わっていくだろうなと(自分に対して)期待しています」 そのなかで背中を追いかけてきた中村さんが「安心して次のステージへ行ける」とスパイクを脱いだチームで、託される役割の変化を問われるとさらにポジティブな言葉を紡いでいる。 「チーム内での役割もそこまで大きく変わっていないけど、責任感は(昨シーズンまでと)変わらずにもたなければいけない。(年齢が)一番上の選手がしっかりと頑張れば、おのずとチームは引き締まると思っているので。個人としてはけがなく、サッカーを楽しみたい。すべてのタイトルを獲らなければいけないチームなので、チームしては変わらずに努力していくだけだと思う」