首都圏の中学受験「今年も厳しい」 志願者数増の人気校に見る、“難関大進学”ではない納得のニーズ
◆関西や他の地域の動向
一方、関西や名古屋はまたニーズが違うようで、大学進学に強い学校と大学附属校が根強く人気のようです。入試も4科目、3科目入試が主流で、英語入試以外の新タイプ入試を行う学校はありません。 ただ、関西や名古屋でも探究的学びやグローバル教育、高大連携は広がっています。また、高校の授業料無償化の影響で、これまで公立志向だった地域でも私学の人気が出てくる可能性もあるでしょう。首都圏ほどではないにしても、一定の中学受験ニーズはあるのです。
◆受験軸に沿った学校選びで「最高の合格」を勝ち取る
昨今SNS での盛んな情報発信で認知度を高め、人気を上昇させているケースも多々見られます。これも、学校の広報努力なので悪いことではないのですが、最終的には自分の目で確かめることが大切です。 筆者は、これまで20年間に渡って200校以上の学校を取材し、2万人以上の受験生と親に接してきました。よかれと思って始めた受験なのに、子どもだけでなく親も「受験沼」にハマってしまうケースをたくさん見てきました。 受験が成功するかどうかは、親がどれだけ「自分の思い込みを捨てられるか」にかかっています。偏差値という尺度は合格を勝ち取るための戦略的指標と捉えて活用するにとどめましょう。何のために受験をするのか、わが家の「受験軸」を見直し、軸に沿った学校選びをすることが重要です。 中学入試は、受験日程も入試要項も複雑で、どの日程にどこの学校を受験するのか、今なお悩んでおられる人もいるでしょう。同じ学校でも、偏差値も日程によって全く違うので、一概に模試の合否判定の結果だけで併願校を決めるのは危険です。実際に出願するときには、日程ごとの応募状況や難易度も詳しく見ていく必要があります。 6年間過ごす場所を選ぶのですから、学校がどんな理念に基づき、教育を行っているのかを見極めることも大切です。 この記事の執筆者:中曽根 陽子 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。
中曽根 陽子