「山にでも捨ててくれ」と飼い主に言われた特養の愛犬「ルイ」 天国へ…体調悪化から3年 命の力強さ教わる
ルイと入居者の皆さんが幸せに過ごした10年間
明るく元気なルイは、「さくらの里山科」にやってきた初日から、ユニット(区画)の広いリビングや廊下を大喜びで走り回っていました。とっても人懐っこい性格で、入居者の皆さんにすりすりして抱っこをせがんでいました。 入居する皆さんも、そんなルイを、こぞってかわいがりました。ルイも幸せ、入居者の皆さんも幸せ。職員も幸せ。まさに幸せな共生が実現していました。 入居者に抱っこされた時のルイのとろけそうな顔。 それ以上にとろけそうに笑み崩れている入居者の顔。 リビングを走り回っているルイのわんぱく小僧のような顔。 そんなルイを見て大喜びしている入居者のはじけるような笑顔。 窓際に置かれたベッドで寝ているルイの最高に気持ちよさそうな顔。 「あら、かわいい顔して寝ているわ」と話している入居者たちの、ほのぼのとした笑み。 そして、ルイと入居者を見て、心底うれしそうにしている職員たちの輝く笑顔。 今でも、ルイと入居者の皆さんが幸せに過ごした10年間の日々の様子は鮮やかに思い出すことができます。ルイと一緒に過ごした10年間は、たくさんの笑顔があふれていました。
親友のチロのおかげで奇跡の復活
ルイの体調が悪化して、何も食べられなくなってしまったのは3年前、2022年7月のことでした。推定14歳の時です。肝臓と心臓が悪いうえに、元から食欲にムラがあったルイは、高齢になって体力が弱ると、食欲がなくなってしまったのです。獣医師さんは、そろそろ看取(みと)りを考えた方がいいかもしれないと診断しました。 ところが、ルイは親友で同い年のチロ(ポメラニアン、雄)のおかげで奇跡の復活を遂げます。ルイがチロのご飯を食べたそうにしていた時に、チロがご飯を分けてくれたのです。チロは、体は小さくても気が強く、ご飯を食べている時に他の犬が近づこうものなら、猛然とほえて寄せ付けませんでした。 それなのに、ルイにはご飯を分けてくれたのです。これがきっかけで、ルイは食欲を取り戻しました。それまでは、流動食をシリンジ(針のついていない注射器)で食べさせていて、それも拒んで何も食べられなくなっていたのですが、なんと普通のドッグフード(お湯でふやかして軟らかくはしてありますが)を食べるようになったのです。 復活したルイは、チロとよく寄り添っているようになりました。小さくてかわいらしい2匹が寄り添っている姿に入居者は大いに癒やされたものです。