人々を畏怖させた「最古の自動ドアのしかけ」が凄すぎる…なんと、神秘の発明家が目をつけたのは「気体の性質」
扉が自動的に開くしくみ
かがり火が灯されないときは、バケツとおもりの平衡が保たれ、扉は閉じた状態になっている。祭壇の中の空気室と水槽がパイプでつながれ、それぞれは気密が保たれている。 祭壇の燭台でかがり火が灯されると、その熱で空気室の空気の体積が膨張し、空気室内の圧力が高まる。その結果、空気室の空気がパイプを通って水槽に入り、水槽内の水面が押し下げられて、水がサイフォンを通ってバケツに流れ込む。 すると、それまで保たれていた平衡が崩れ、バケツが下降して、定滑車を経てロープが回転軸を回転させる。この回転軸の動きに連動して扉が開くしくみである。 かがり火が灯されてから、どれくらいの時間で神殿の扉が自動的に開いたのだろうか?
閉じるときはどうする?
残念ながら、扉が自動的に開くまでの時間は知る由もないが、古代の人々が司祭の“超能力”に驚き、神への信心を篤くしたとすれば、“実用的な時間”以内に開いたことだろう。 閉じるときにはどうすればいいか。 かがり火が消され、空気室の温度が低下するにしたがって体積が収縮し、圧力が下がるのでバケツからサイフォンを通って水が逆流する。軽くなったバケツは上昇し、回転軸を逆回転させることで扉は元の閉まった状態に戻るのである。
気体の性質を巧みに利用
サイフォンを通じて水が逆流するのは、空気室の圧力がバケツの水面を押す圧力、つまり大気圧(1気圧)と等しくなろうとするからである。 これは、気体の物理的な性質を巧みに利用したものであるが、ここで読者は、学校で習った「気体に関する法則」を思い出さないだろうか。 たとえば、なるべく低温に置かれた空のペットボトルの栓を閉め、それを炎天下に放置すれば、栓が飛ぶか、容器自体が破裂する可能性がある。高温になったペットボトル内の空気が膨張し、ボトル内の圧力が大きくなるからだ。 温度の上昇に応じて膨張するのは、液体や固体でも同じだが、気体の場合は温度・体積・圧力の関係がきわめて明瞭に実感できるのである。
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