なぜ巨人は西武アンダーハンド與座からのリレーに16年ぶりの打者27人「準完全」に封じられたのか?
巨人は8日、ベルーナドームで行われた交流戦の西武戦でサブマリン與座海人(26)に6回までパーフェクトに封じられた。7回の先頭・吉川尚輝(27)が中前打を放ち、なんとか記録は阻止したが、その後の西武のリレーの前に8回、9回も三者凡退に抑えられて、終わってみれば、その1本だけのヒットに終わり0-3で敗れた。打者27人で終わるという「準完全試合」を喫しての3連敗。首位ヤクルトとのゲーム差が今シーズン最大の「5」に広がった。
ボールとフォームの2重の緩急で幻惑
16年もの時空を超えて巨人が「準完全試合」の屈辱を受けた。球団史上で一度も完全試合を喫していない巨人だが、準完全試合は、過去に3度経験していた。くしくもその3度目が2006年の6月8日だった。 福岡ヤフードームで行われたソフトバンクとの交流戦。最終的に勝利数、防御率、奪三振、勝率、完封数の投手五冠を独占し、2003年に続く2度目の沢村賞にも輝いた豪腕・斉藤和巳に12三振を喫した。四死球も相手のエラーもなし。6回に唯一のヒットを放った脇谷亮太も直後にけん制で刺され、打者27人で零敗を喫した。 ひるがえって2022年6月8日の先発は、アンダースローの技巧派・與座だった。ストレートのMAXは133km。前回登板だった1日の阪神戦(甲子園)は8被安打5失点と打ち込まれて4回でKOされ、今シーズン2敗目を喫していた。 しかし、巨人打線は快音を放つどころか、凡打の山を築き続けた。 初回にセカンド外崎修汰(29)が、2回にはライト若林楽人(24)が立て続けに演じたファインプレーで波に乗った5年目のサブマリンの前に、6回終了時で一人の走者も出せない。この時点で球数は「79」で、一塁側の巨人ベンチには嫌な雰囲気が漂い始めた。 両リーグを通じて最多となる66本塁打を放ち、西武の豊田清一軍投手コーチ(51)をして「一発があって本当に怖い」と言わしめた巨人打線が沈黙したのはなぜなのか。4勝目をあげた與座が試合後に残した言葉のなかに答えが凝縮されていた。 「真っ直ぐとの緩急もそうなんですけど、フォームの緩急というものも加えながら投げられたのが一番よかったと思っています」 この日に投じた最も遅いボールが、3回一死で8番・中山礼都(20)をセンターフライに打ち取った99kmのカーブだった。ファウルになった直前のストレートは130km。その31kmのスピードの差がそのまま緩急となる。ならば、フォームの緩急とは何なのか。 象徴的な場面が4回に訪れている。 両チームともに無得点の状況ながら、3回を打者9人で凡退させられていた巨人はベンチ前で円陣を組み、村田修一打撃兼内野守備コーチ(41)が指示を与えていた。 西武の辻発彦監督(63)は、円陣の内容をこう推察していた。 「初球からどんどん打っていこう、というミーティングだったと思いました」