なぜ巨人は“完全男”佐々木朗希の攻略に成功したのか…バットを短く持った徹底した逆方向狙いと機動力を使った揺さぶり
巨人が「令和の怪物」に今シーズン初黒星をつけた。3日、東京ドームで行われた千葉ロッテ戦で“完全男”佐々木朗希(20)を8安打5得点と攻略して10-3で快勝した。下位打線がバットを短く持って逆方向を狙い、機動力を使って揺さぶりをかけ、主砲・岡本和真(25)がここまで被弾ゼロだった佐々木に豪快な一発を浴びせてKOした。佐々木の5失点はプロ入りワーストとなった。
岡本が抜けたフォークを逆方向へ16号2ラン
完璧な手応えが残っていた。右中間スタンドへ向かって伸びていく打球の行方を見つめながら、岡本は一歩、二歩、三歩とゆっくり足を踏み出しただけだった。 1点をリードして迎えた3回一死二塁の場面で4番に飛び出した、飛距離約128mの特大16号。4試合ぶりの一発でリーグ単独トップに立ち、打点も43に伸ばして村上宗隆(東京ヤクルト)とともにトップに並んだ岡本は、開幕から10試合、延べ233人目にして佐々木から初めてホームランを放ったバッターになった。 「進塁打でもいいぐらいの気持ちでいった結果がホームランになって、いい追加点になってよかったなと思っています」 試合後のお立ち台で放った第一声は、決して謙遜していたわけではなかった。 二死二塁のチャンスで迎えた初回の第1打席。フルカウントから内角低目へ投じられた144kmのフォークにバットが空を切った。迎えた第2打席。159kmの直球が外角高目に外れた初球で、一塁走者のウォーカー(30)が二盗を成功させた。 足を絡められて動揺したのか。佐々木の2球目、158kmの直球も外角に外れる。投手心理としてストライクがほしい状況。剛速球を待ちながらフォークにも対応しよう、と心がけていたからこそ、最悪の場合は進塁打でいいと割り切っていた。 そこへ高目に浮いた141kmのフォークが、外角の甘いコースに落ちてきた。逆方向を意識していた岡本の体がスムーズに反応する。原辰徳監督も、試合後に「あのようないい場面で、久しぶりに出た感じですね」と岡本の一発を振り返った。 「本来のあっちの方向に、大きいのが出るのはいいことですね」