なぜ巨人は西武アンダーハンド與座からのリレーに16年ぶりの打者27人「準完全」に封じられたのか?
再昇格を果たしたのは4月26日。力強い腕の振りから放たれる浮き球を携えて、先発スミスが怪我で緊急降板した同28日のソフトバンク戦の2回一死満塁で登板。5回までを1失点に抑えて勝利投手となり、再び先発ローテーションに名を連ねた。 規定打席に到達している打者で、打率が3割に達しているのはセ・リーグで4人、パ・リーグでは2人しかいない。極端すぎるほどの投高打低になっている要因のひとつに、辻監督は今シーズンの主審が高目をストライクに取っている点をあげる。 「今年の野球自体がそうなっているじゃない。今日も『えっ』と思うコースがストライクになっていたけど、アンダースローのピッチャーにとって高目をストライクに取ってくれたら楽ですよ。たとえ甘くても高目へ力強い球がいけば大丈夫、大きな武器になると與座もわかったからか。高目へのコントロールも非常によくなってきましたよね」 セ界の3割打者の一人、吉川が116kmのチェンジアップをセンターへ弾き返し、初めての走者になった7回も緩急と高低への投げ分けが巨人打線を狂わせた。 一死後に左打席に立った丸は、ストライクになった外角低目への108kmのカーブを見送る。2球目は一転して真ん中高目へ127 kmのつり球。これが残像となったのか。真ん中に入ってきた121kmのスライダーはファウルになった。 内角低目に外した122kmのスライダーをへた5球目。外角やや高目へ投じられた、球速をやや落とした113 kmのスライダーを引っかけた丸は二ゴロ併殺打に倒れた。7回を打者21人、93球で零封した與座はこれでお役御免。バトンを託された平良海馬(22)、守護神・増田達至(34)の前に、巨人は準完全試合を喫して敗れた。 巨人は4-9で逆転負けを喫した7日の西武との初戦から、打線を大幅に組み替えた。吉川と丸を入れ替え、2番には千葉ロッテの完全試合男・佐々木朗希(20)に今シーズン初黒星をつけるきっかけになるタイムリーを放った増田陸(21)を抜擢。3割をマークするウォーカー(30)を5番に、ポランコを6番にそれぞれすえた。 結果は今シーズン3度目の完封負けを、5月5日の広島戦(マツダスタジアム)に続くわずか1安打で喫した。報道によると、打線を組み替えた理由を「いろいろと模索しながら」と説明した原辰徳監督(63)は、さらにこう語ったという。 「なんせ若いチームだから、いろいろみんなで力を合わせて、ということですね」 3連敗を喫しても2位につけている順位は変わらないが、首位ヤクルトとのゲーム差は今シーズン最大の「5」に広がった。残り4試合となった交流戦でも6勝8敗。9日の西武との最終戦には6勝でハーラートップに並ぶエース、菅野智之(32)を予告先発のマウンドに送り、反攻へのきっかけとなる勝利を託す。 (文責・藤江直人/スポーツライター)