黒川伊保子「帝王切開」「ミルク育児」を引け目に感じる必要一切なし。「生まれ変わるなら、私は同じ母から帝王切開で生まれたい!」
厚生労働省が公表した「令和5年 人口動態統計月報年計(概数)」によると、2023年の出生数は72万7277人で、前年の77万759人より4万3482人も減少しました。このような状況のなか、「孫をどうこうする前に、20世紀型の子育てをしてきた私たちが意識を変えなくては始まらない」と語るのは、脳科学・AI研究者の黒川伊保子さん。今回は、黒川さんの著書『孫のトリセツ』から一部引用・再編集してお届けします。 【書影】AI時代を生き抜く孫たちのために祖父母がすべきこととは?黒川伊保子『孫のトリセツ』 * * * * * * * ◆帝王切開、何が悪い? 自然分娩で、母乳育児。 これがお産の勝ち組なんだってこと、私はおよめちゃんのお産で初めて知った。およめちゃんが、とてもそれらを望んでいたから。 私は帝王切開で生まれたし、私の命を、おなかを切って守り抜いてくれた母を心から尊敬し感謝している。 おかげで64年間お産以外で入院したことのない健康な身体をもらったし、自分が帝王切開だったことで、人に引け目を感じるような思いをしたことは人生で一秒もない。 なぜ、帝王切開の産婦さんが、自然分娩でないことを引け目に思うのか、帝王切開児の立場からは、まったく理解できない。 声を大にして言うね。帝王切開、まったく問題なし! もちろん、身体への負担は大きいし、いっそう大事にしてもらいたいけど、自然分娩に対して引け目に感じる問題点は一切ない。 たしかにとやかく言う人はいる。「帝王切開児は産道を通っていないので、忍耐が足りないのよね」と言われたことがある。 「あら、そう?私は帝王切開児だから、たしかに忍耐力は足りないのかもしれない(微笑)。一浪して志望校に入ったし、人類初の日本語対話型AIも実現したけど、すべて好奇心に導かれてやっただけだもの。忍耐力が足りなくて、30代半ばで会社も辞めたけど、けど、そのおかげで自分の会社を持ったから、今も現役でいられる。それらが全部、帝王切開児だったせいなのだとしたら、私は人生を帝王切開にもらったことになる。私は、もう一度生まれ変わってくるなら、同じ母から、帝王切開で生まれたい!」 ――まぁいつもはそこまで戦闘的な気持ちにはならないけど、母に面と向かって帝王切開児を揶揄(やゆ)する人がいたら、私は、これくらいは言うよ。 だから、帝王切開で負けた気分になっている若い母たちには、このことばを伝えたい。 孫が帝王切開児なら、ぜひ、その母に言ってあげてほしい。
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