日銀・黒田総裁会見10月28日(全文1)若干の円安は日本経済にプラスの効果
大きな理由は世界的な需要拡大
その背景としては、現在のこの商品価格の上昇の一番大きな理由は、やはり世界的な需要拡大によるものですから、それは日本の企業にとっても輸出その他でプラスになりますし、企業収益にもプラスの影響を及ぼし、賃上げの余地も出てくるということもありますので、そういった形で消費者の価格引き上げに対する許容度というものもある程度、高まっていくという可能性もありますので、いろいろ含めると転嫁されていく割合は少し増えていくと思うんですけども、なかなか完全に転嫁されるようなふうには、先ほど来、申し上げたように過去のデフレ期に定着した慣行がありますので、なかなか難しいかなとは思っております。 それから米国の金融政策、テーパリングが始まるわけですけれども、これは米国の金融当局自体が言っていますように、金利引き上げではないというふうに言っておりますし、金利引き上げについてはずっと先のように言っておりますので、これが直接的に何か金利や為替に今、影響が出てくるっていうことはあまり想定されないというふうに思います。
世界の超緩和的な政策縮小は日銀の政策にどう影響するか
ロイター通信:ロイター通信の木原です。2点お願いします。1点目、ニュージーランド、カナダ等、徐々に世界の中銀で利上げを模索したり緩和の縮小をしていく中銀が増えております。足元のインフレの高まりが予想インフレに影響及ぼすことを懸念した動きと思うんですけれども、日本ではご指摘のように物価、なかなか2%の目標から遠いためにまだ粘り強く緩和を続けるということだと思うんですけれども、こうした世界で起こっている危機時の超緩和的な政策を徐々に縮小する動きが、将来的に日銀の政策および政策に関わるコミュニケーションにどういう影響を及ぼしうるのか。まず、そちらをお願いします。 黒田:基本的にそれぞれの金融政策っていうものは、現在のような変動為替相場制の下では、それぞれの国の経済・物価動向に合わせて適切に運営されるということであって、今、指摘されたニュージーランドとかカナダの例は、それぞれの国の経済・物価動向に合わせて適切な政策を取られたっていうことだと思いますので、そのことが何かわが国の金融政策に直接的に影響を与えるということはないと思います。わが国の金融政策はあくまでもわが国の経済・物価動向に合わせて決められ、実行されているものであるということでありますので。そういう点は従来からきちっとコミュニケーションを取っておりますし、先日のワシントンにおけるG7、G20、IMFC等の会議でも十分、わが国の経済・物価動向、その下での金融政策についてはお話をし、また、ご納得されたというふうに思っております。 ロイター通信:ありがとうございます。2点目、先ほどの円安の質問にもちょっと関わるんですが、実質実効為替レートで見たときには、トレンドとしてずいぶん円安が進んでいて、これをもってやはり日本の経済力が落ちている証左であるという、そういう解説をする人もいるんですけれども、この実質実効為替レートで見た場合の円の弱さ、この背景をどうお感じになられていてこちらについてもこれ以上、下がる可能性はあんまり高くないというふうにお考えなのか、その辺お願いします。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見10月28日 全文2へ続く