日銀・黒田総裁会見10月28日(全文3完)金融全体は非常にうまく回っている
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の28日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年10月28日)」の中継開始時間に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2021年10月28日) ◇ ◇
経済の先行きリスク要因の認識に変化があったのか
日本経済新聞:日本経済新聞の清水と申します。よろしくお願いいたします。今回の展望レポートで、経済のリスク要因の項目がだいぶ入れ替わっていまして、供給制約の影響とか海外経済の動向っていうのが加わった一方で、金融システムの状況っていうのが落ちてるんですけども、この金融システムの状況が落ちた点が先ほど質問のあったコロナオペの扱い等とも関連して若干気になりましたが、経済の先行きのリスク要因についてどのような変化、認識に変化があったのかご説明いただけますでしょうか。 黒田:これはまさに展望レポートで書いてあるとおりでありまして、足元で、特に今、海外における供給制約というものが、もちろん海外経済にも影響を与えていますけれども、わが国の経済にも影響を与えているということ。これがあくまでも欧米を中心に需要が急拡大していることに供給が追い付かないとか、ご案内のとおり船が港で混雑しているとか、いろんなことをいわれてますけども、これらはいずれにせよ一時的な要因であって、いずれ解決されるっていうふうにはみんな思っていると思うんですけれども、その時期がいつごろなのかというのはやはり不確実性が残っていますので、それがより長引くということは1つのリスクとしてはありうるというふうに思っております。
全体として安定性を維持している
そういう意味で海外の状況も、この供給制約の観点もありますし、それが欧米の物価上昇率を引き上げていることは事実なんですけれども、それが一時的なものにとどまるかどうかっていうことについてもリスクはあるとは思うんですね。他方で海外のさまざまなリスクという中には、中国を含む新興国の感染症や、それから不動産市場とか、そういったことのリスクというのもまだ残っているというふうに思いますので、これはあくまでも現時点で見た今後の日本の経済成長、物価動向に対するリスク要因ということであると思います。 他方、金融システムにつきましては、金融システムレポートも出されておりますけれども、現状、コロナウイルス感染症が引き続き国内外の経済・金融に影響を及ぼす下でも全体として安定性を維持しているということがいわれてますし、先行き、仮に感染症の再拡大とか、長期金利が海外で上昇して国際金融市場と新興国経済の調整などがありうるとしても、それでも相応の頑健性を備えているというストレステストの結果を踏まえつつ、そういうふうに言っておりまして。 かつて感染症の拡大、そして企業の資金繰りの問題等から、金融システムへの影響っていうものもリスク要因としてありうると思われていたんですけれども、現時点ではご案内のとおり、企業の資金繰りについては政府および日銀の思い切った支援策が功を奏して、倒産や失業も増えておりませんし、金融全体は非常に今、うまく回っている。そういう下で、金融システム自体も全体として安定性を維持している。しかも先ほど申し上げたような感染症の再拡大とか、長期金利の海外の上昇とか、国際金融市場と新興国経済の調整などの状況を想定しても相応の頑健性を備えているということでありますので、確率というか、可能性の高いリスクとしてはもう特にメンションする必要はないと思いますけれども。 ただ、もちろん金融システムレポートでも述べているように、国際金融市場が大幅かつ急激に調整する場合には、金融機関の経営体力が低下して、金融仲介機能の円滑な発達が阻害されて、実体経済にも下押し圧力として作用するリスクは中長期的にはあると思いますけれども、足元の重大なリスクとしては、先ほど申し上げたような海外における供給制約とか、海外のさまざまな、特に新興国における動向といったものが大きいということだと思います。 時事通信:それでは、ありがとうございます。これで終了いたします。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見10月28日