パンダが双子を生む確率は「約45%」って知ってた?アドベンチャーワールド副園長に聞いた「もっと知りたいパンダのこと」…日中共同繁殖研究「3つの成果」そして中国へと渡ったパンダファミリーのいま
もっと知りたい! パンダたちのこと
イベント終了後、中尾副園長に、この30年で、永明以外で印象に残ったパンダを聞いてみました。すると、講演にも出てきたふたごの兄弟。秋浜と隆浜の名前が挙がりました。 パンダは約45パーセントの確率でふたごを産みますが、2頭は、同パーク初のふたごでした。「大きくなって、ふたごがどう変わるか興味深かったんです」と話す中尾副園長。兄弟でけんかしたりじゃれ合ったり、そういう事を想像していたといいますが、実際は「お母さんの取り合いでしたね。こういう風な親子の関わりもあるのかと」 2006年には、オスとメスのふたご、明浜(めいひん)と愛浜(あいひん)が生まれます。「明浜はお母さんが大好きで。ずっとお母さんにベッタリ。一方、愛浜はごはんが終わると、離れてひとりで遊ぶような所も見られました」。この時はオスとメス、それぞれの行動の違いも見られたようです。 「子どもを持つ母親に聞くと、人間も同じような感じみたいですね。(パンダの場合)オスがしっかりと母親と関わることによって、より健全なオスに成長するというアメリカでの研究もあります。それは自然交配の成績にも関わるんです」 そして、永明に関しても「飼育下で生まれたことで、精神的な成長期に母親と一緒にいられたことが大きいのではないでしょうか」と話してくれました。 「永明の30年は私の30年でもある」と、話す中尾副園長は「パンダに関して、わからないことはまだたくさんある。興味はつきませんね」と、笑顔を見せます。 パンダの共同繁殖研究は、パンダの育成や飼育技術の向上はもちろん、パンダから広がる交流や活動へと広がっています。以前の記事(https://gendai.media/articles/-/134239)でも紹介しましたが、中国では、パンダを通じて日本と中国のパンダファンの交流もうまれていました。 「かわいい」だけではなく、現状を知って「守りたい」へ。パンダやパンダを取り巻く環境、そして人にも目を向けることで、お互いの世界が広がるといいですね。
二木 繁美(パンダライター&イラストレーター)