人々を畏怖させた「最古の自動ドアのしかけ」が凄すぎる…なんと、神秘の発明家が目をつけたのは「気体の性質」
あの時代になぜそんな技術が!? ピラミッドやストーンヘンジに兵馬俑、三内丸山遺跡や五重塔に隠された、現代人もびっくりの「驚異のウルトラテクノロジー」はなぜ、どのように可能だったのか? 【画像】古代ギリシャで発明されたポンプ…「驚愕の精度」を出した素材が衝撃的すぎ! 現代のハイテクを知り尽くす実験物理学者・志村史夫さんによる、ブルーバックスを代表するロング&ベストセラー「現代科学で読み解く技術史ミステリー」シリーズの最新刊、『古代日本の超技術〈新装改訂版〉』と『古代世界の超技術〈改訂新版〉』がベストセラーになっています。 それを記念して、残念ながら本編には収録できなかったエピソードを短期集中連載でお届けします。生没年などが未詳なことから“神秘の発明王”の異名をとるヘロンは、なんと古代ギリシャの神殿用に「自動ドア」までつくっていた! いったいどうやって自動で開き、そして閉じるのか? そこに使われている現代も不可欠の「ある法則」とは?
エアコンや冷蔵庫にも使われる「原理」
このシリーズでも紹介してきたように、アルキメデスやクテシビオス、ウィトゥルウィウス、ヘロンら、古代ギリシャの技術者によって発明されたものは、じつに多種多様である。 残念ながら、そのすべてを紹介することはできないが、シリーズの締めくくりとして、現在のエアコンや冷蔵庫にも通じる、気体の性質を巧みに使った“自動扉”を紹介しておきたい。
2000年前の神殿に“自動扉”が!
最近の公共施設やスーパーマーケット、デパートなど、人がたくさん集まる建物のドアはほとんど“自動”になっている。 驚くべきことに、世界で最初の自動ドアは、およそ2000年前の古代ギリシャの神殿に現れている。製作者は、お馴染みのヘロンである。 以下、ヘロンの自動ドアについて述べるが、神殿の雰囲気を出すために“ドア”ではなく“扉”という言葉を使うことにしよう。
舞台装置のような“大仕掛け”
司祭が神殿の外の祭壇に火を灯して呪文を唱えると、神殿の扉が、まるで魔法のごとく、誰の手を借りることもなく自然に開いた。 当時のギリシャ人は、その自動的に開く扉を見て、司祭の“超能力”、神への信心をいっそう篤(あつ)くしたことだろう。 ヘロンの自動扉の構造の概略を次の図に示す。 現在の自動ドアのほとんどすべては、左右に開閉するタイプのものであるが、ヘロンの自動扉は両側で回転開閉する“観音開き”である。祭壇以外の舞台装置のような大がかりな“仕掛け”は、すべて神殿の扉の下に隠されている。
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