パンダが双子を生む確率は「約45%」って知ってた?アドベンチャーワールド副園長に聞いた「もっと知りたいパンダのこと」…日中共同繁殖研究「3つの成果」そして中国へと渡ったパンダファミリーのいま
日中の協力で乗り越えた生命の危機
2018年にパーク最小の75グラムで生まれた、彩浜(さいひん)が無事に成長できたことには、中国人スタッフと専門家の力が大きかったと言います。通常100~200グラムで生まれるはずが、75グラムと小さく生まれた彩浜。中尾副園長は当時の彩浜を振り返り「弱々しく、皮膚の張りがない。自分でミルクも飲めなかった」と話します。 しかし、この時パークには出産に備えて中国人スタッフと専門家がいました。「彼らには43グラムと51グラムで生まれた仔を育てた経験と実績があります。母親から初乳を搾乳し、2時間毎に赤ちゃんに与えていました」。パンダの初乳には免疫なども含まれており、赤ちゃんには絶対に必要なものなのです。 「そこから3日目に自力で母乳を飲んだことを確認。8日目には、完全に自力で母乳を飲むことができるようになりました」。経験豊富な中国人スタッフの助けを受けながら、彩浜は生命の危機を乗り越えたのです。こうして30年の間にのべ70人の中国人研究員が来園し、同園のパンダファミリーも、4世代47頭へと広がっています。
パンダから広がる活動の輪
研究の成果は、繁殖だけではありません。「パンダから広がる交流や活動」として「パンダバンブープロジェクト」も紹介されました。 こちらは、これまで廃棄していたパンダが食べ残した竹や、食べない部分、糞を有効資源としてアップサイクルし、社会課題の解決を目指すというもの。同パークでは、竹をリユースした「パンダバンブータンブラー」や、京都の竹工芸職人と学生による「パンダバンブーリング」の販売などの取り組みをしています。 さらに現在パーク内には、クラウドファンディングを通じて生まれた、約5,000本の竹を使用した巨大アートも。台湾アーティストの王文志(ワン・ウェンチー)さんが手がけたこのアートは、中に入って自然を体感することができます。 アートの中に入ることもでき、取材時には、子どもたちが竹とふれあいながら、遊んでいました。