海外メディアは東京五輪開会式の何をどう評価したのか…「視聴的に印象的だったのはドローン」「不可解なTVクルー」
東京五輪の開会式が23日、新国立競技場で「無観客」で行われた。「多様性と調和」をテーマにしたセレモニーを海外メディアはどう伝え、どう評価したのか。 米NPR(公共ラジオ)「控えめな開会式で東京五輪が正式にスタートした」と表現。 米国で放映権を持つNBC系列のNBCニュース電子版は、3つのキーワードを見出しに取り報じた。同メディアが注目したのは、「大坂なおみ」、「ピクトグラムの青い人間」、「トンガの裸体の旗手」の3点だ。 大坂が最終聖火ランナーに選ばれたことについては、「大坂は、ボクシングのヘビー級チャンピオンであるモハメド・アリ、9回、五輪王者となったフィンランドのランナー、パーヴォ・ヌルミ、フィギュアスケートチャンピオンである韓国のキム・ヨナなど五輪の最後の炎を運んだ有名なアスリートたちの仲間入りをした」と評価。伝説的なアスリートの仲間入りをしたという見方を示した。 またトンガの旗手、ピタ・タウファトフアの上半身裸の入場は3大会連続で、今や、五輪の定番になっているとし、「五輪開会式でシャツを着ずにオイルを塗って歩いたトンガのテコンドー選手が、3回連続でインターネット上を席巻した」と、米国内でのSNS上の盛り上がりを伝えた。 さらに青い衣装で全身を覆ったパフォーマーが50競技のピクトグラムを軽妙なパントマイムで次々と紹介した演出にも注目。 「一連の人間ピクトグラムの中で、青一色の衣装を身にまとったパフォーマーたちが、すべての五輪競技のロゴと思われるものを再現し、ソーシャルメディア上で衝撃と混乱、あるいは喜びの声が上がった」と絶賛。 「ある人は、『見ていてストレスも感じていたが、とてもクールだった』とツイート。また、別の人は、このパフォーマンスを『素晴らしい』と評し、『娘たちも携帯電話から目を離していた』とまで言っていた」と好評ぶりをレポートした。
「厳粛な雰囲気」
英ガーディアン紙は「五輪開会式の11の優れた瞬間」と見出しをつけ、「厳粛な雰囲気」と開会式を評価した上で11個の注目トピックスを時系列にピックアップした。 (1)津端ありさの悲痛なオープニング 「オープニングでは大会が延期になったことで落ち込み一人で練習する選手たちが描かれていた。一人延々とトレッドミルを孤独に走っている人がいた」 オープニングでは新型コロナ禍で苦悩と努力を重ねたアスリートの姿を表現。女子ボクシングの五輪代表候補でありながら、新型コロナの影響で、世界最終予選が中止となり、出場権を得ることができなかった津端が登場しパフォーマーとして演技した。 (2)歴史的な瞬間の黙祷 「新型コロナウイルスで命を落とした人々を追悼するために暗闇のステージで一人のダンサーによる荒々しいパフォーマンスが行われた。1972年のミュンヘン大会で、イスラエルのメンバーが殺害されたテロ事件で失われた命についても明確に言及された。犠牲者の親族は長い間、開会式で犠牲者を正式に追悼することを求めてきたが、これまでIOCはこれを拒否していた」 ちなみにこのシーンを演じたのは俳優でダンサーの森山未來だ。 続けて3番目に「木のテーマ」として、女優の真矢ミキが、昔の大工の棟梁役を演じ、職人が五輪の輪を作るシーンを上げ、4番目に「ピクトグラムに命を吹き込む」とし、50競技を記号で示す「ピクトグラム」が今回動画となり、それを全身タイツのパントマイマーが、ユーモラスにすべてを表現したシーンを取り上げ、5番目に「ビデオゲームのサウンドトラック」と選手の入場BGMにドラクエやファイナルファンタジーなどゲーム音楽が使われたことをピックアップした。さらに(6)「イタリアのパックマンとラトビアの宇宙服」として奇抜なファッションで登場した国を紹介。(7)「オノ・ヨーコとイマジン」、(8)「 トップレスのトンガ人が戻ってきた」と話題になったシーンを続けて紹介した。 9番目に取り上げたのが「不可解なテレビクルー」。 「五輪開会式には、開催国以外では全く意味をなさないコメディースキットが欠かせないものだが、そのドタバタコメディにTVクルーの姿が見られた」 お笑い芸人のなだぎ武がレポーター役を務め、ワイドショーのテレビクルーをパロったような寸劇があったが、どうも海外メディアには理解が難しかったようだ。 (10)ドローンを使った演出 「この夜、視覚的に最も印象的だったのは、ドローンを使って東京2020大会のシンボルマークを描いたことだ」と絶賛したのが、1824台の発光ドローンが夜空に舞い、東京五輪のエンブレムから地球に変化していった壮大なシーン。