【Q&A】「敵基地攻撃能力」とは?
Q:可能なら、なぜ保有してこなかったの?
憲法の柱である専守防衛の考えや、日米安保条約の下で日本は「盾」の役割に徹し、「矛」となる能力を米国に頼ってきたことが背景にあります。日本は他国の領域での攻撃を想定してこなかったのです。 政府の説明では、相手が日本に対する武力攻撃に着手した場合、必要最小限度であれば敵基地攻撃が可能になるとしています。しかし何をもって「着手」とするか、明確に定義されているわけではありません。 2003年、石破茂防衛庁長官(当時)が「着手」の考え方について「東京を火の海にするぞと言ってミサイルを屹立させ、燃料を注入し始め、それが不可逆的になった場合というようなのは一種の着手」だと説明しました。 日本に実際に被害が及んでからではなく、相手がミサイル発射前でも攻撃は可能とされていますが、日本に向けた武力攻撃なのかどうかを判断するのは難しい面があります。国際法が禁じる先制攻撃との区別があいまいになる可能性も指摘されています。
Q:今後の議論はどう進むんだろう。
配備計画を断念した地上イージスに代わるミサイル防衛システムをどうするのかという検討と、敵基地攻撃能力の保有に関する議論が並行して進んでいます。 地上イージスの代替手段については、2020年9月末までに一定の方向性が出る見通しです。 安倍首相は年末にも国の外交と安全保障の基本方針「国家安全保障戦略」を改定する考えを示しており、敵基地攻撃能力の保有がどう盛り込まれるかが焦点です。 ただ、8月28日に安倍首相が辞任を表明したことで今後の議論に影響が生じる可能性があり、流動的な要素も生まれています。