【Q&A】配備見直しで注目。「イージス・アショア」って何?
政府が、秋田・山口両県への配備計画を断念した迎撃ミサイルシステムの「イージス・アショア」。ニュースで目にすることはありますが、 そもそも「イージス・アショア」とはどのようなミサイルシステムなのでしょうか? なぜ計画が見直されることになり、そのことで日本の防衛政策にはどのような影響が出るのでしょうか?
Q:そもそもどんなシステム?
敵が発射したミサイルを察知し、撃ち落とす防空艦艇であるイージス艦に搭載されたものと同様のミサイル迎撃機能を地上に配備して運用する防空システムのことです。米軍が開発した装備で、弾道ミサイルを探知するレーダーや、迎撃ミサイルの発射機などで構成されています。 「イージス」の名称は、ギリシア神話に登場する邪悪を払う盾(Aigis)に由来します。
Q:なぜ国内に配備されることになったの?
北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いだ2017年に導入の機運が高まり、政府が同年12月、米国から2基購入することを閣議決定しました。イージス・アショアの配備により、海上のイージス艦で24時間・365日体制で警戒に当たっている自衛官らの負担を軽減する狙いもありました。 配備先については秋田県の陸上自衛隊の新屋(あらや)演習場(秋田市)と、山口県の陸自むつみ演習場(萩市、阿武町)が候補地になっていることが報道され、地元では動揺が広がることになります。
Q:秋田での防衛省の不手際がニュースになったね。
18年5月、防衛省は配備先を新屋演習場とむつみ演習場と結論付ける調査結果をまとめました。ところが直後の6月、新屋演習場を東日本で「唯一の適地」と決めた調査内容が杜撰(ずさん)だったことを、秋田県紙の秋田魁新報が報じます。内容は、新屋演習場以外の候補地が配備に適さないとするデータにミスがあったというものです。防衛省が現地で実測せず、インターネット上の地図と定規を使って山の高さや角度を測っていたことが原因でした。配備の根拠は大きく揺らぎ、地元では一気に不信感が広がりました。防衛省の職員が住民説明会中に居眠りする失態も火に油を注ぎました。 一連の不手際を受けて防衛省は秋田の候補地の再調査を表明し、その期限が今年7月までとなっていました。期限が迫る中、河野太郎防衛相は6月15日に配備計画を停止すると発表しました。