自民・石破氏、総裁選出馬会見(全文1)納得と共感が得られる党でありたい
わが国をサステナブルな国に
わが国は江戸時代、天下太平ということを目指してまいりました。これではいかんということで明治維新以降、富国強兵、殖産興業、それを実現するために東京一極集中というのは大きな効果を発揮いたしました。従って半世紀足らずで日本は世界の大国の1つになったということであります。第2次大戦の敗北で徹底的にそれは打ちのめされた。戦後わが国が目指したものは、もう一度経済を成長させねばならん。共産主義革命を起こしてはならんということでありました。さらに東京一極集中は加速をした。政治、経済、文化、メディア、あらゆるものが東京に集中してまいりました。1968年、昭和43年、西ドイツを抜いて世界第2位の経済大国になった。わずか二十数年でそれを成し遂げた。東京一極集中、それは非常に効果的なものであったが、継続、持続できるものであったか。それはそうではない。 そして今日は防災の日でありますが、首都直下型地震、あるいは火山の爆発、高齢化、東京には大きな負荷が掛かっている。この東京の負荷を軽減するということ、そして地方に雇用と所得を実現するということ、この2つを、国の在り方を、設計図を見直すという観点から変えていかねばなりません。東京一極集中は天から降ったものでも地から湧いたものでもありません。パリ一極集中とかローマ一極集中とか、そういうのを聞いたことがない。人為的につくったものであるなら、人為的に変革をしていかねばならない。東京の負荷を減らし、地方に雇用と所得、わが国をサステナブルな国にする。次の時代にも、わが国がやっていける国にする。それは今やっていかねばならないことなのであります。人口の急減も理由があるからです。そのことを1つずつ、私は解決をしてまいります。
わが国でできることを米軍に依拠していないか
最後に外交安全保障について一言申し上げておきます。日米関係はわが国の基軸であります。価値観を共有する合衆国との信頼関係の強化。それは安倍政権の下で、平和安全法制の実現等、成果を得てまいりました。日本とアメリカの在り方、在日米軍というのはどのようなものであるか。なぜ三沢にF16がいるのか。なんで横須賀に原子力空母がいるのか。なぜ嘉手納にF22が飛来をするのか。なぜ佐世保に強襲揚陸艦がいるのか。そのことをきちんとわれわれは認識をしなければなりません。そして自衛隊と米軍の在り方、その役割分担、米軍が何をやっているのかということをきちんと認識をしなければ、経済的な負担の分担の議論にはなりません。そしてわが国でできること、自衛隊でできること、それを米軍に依拠していないかということであります。 そして法律、装備、これは十分であるかということです。イージス・アショアにしてもそうです。イージス・アショア的な機能、それは必要です、今後とも。そして相手国の領域に、仮に自衛権の行使として武力を用いるとするならば、それはどのような手段によるべきか、そのときに日米同盟はどう機能するのかということをきちんと検証していかなければ、それは論理の飛躍になりかねません。そういうことをきちんと見直してまいります。 中国は、香港に対してあのような対応をいたしました。そのことはよくわれわれは深刻に認識をしていかなければなりません。一国二制度の否定であります。現状の変革というものを力でやるということには、われわれは断固たる意思を表明していかねばなりません。しかし同時に、中国がそのような現状の変更を力で行うことなく、安定的に成長していくために、われわれは何ができるか。中国に間違った考えを与えないために、安全保障体制はきちんと見直すということであります。 中国の問題は、中間層が形成される前に人口が減る、高齢化が進む、そういう問題がございます。それにどう対応するか。日本は共に何ができるかということを考えていかねばなりません。朝鮮半島については考え方を異にするものがあります。そこはきちんと主張していかねばなりませんが、なぜ相手がそのような主張をするのか、そのことの理解をわれわれは十分にしているだろうか。領土にしても歴史にしても、われわれはきちんとした正しい認識を国家・国民として持っているだろうかということを、わが国にできることとして検証していかねばならない問題であります。