石破氏、総裁選に出馬表明 党員投票なし「極めて残念」
自民党の石破茂元幹事長は1日、記者会見し、安倍晋三首相の後継を決める同党の総裁選挙に出馬することを表明した。会見で石破氏は「同志の皆さまのご推挙をいただき、立候補する決意をした」と語った。また、党員投票が行われないことに対して「極めて残念」とも述べた。 【動画】石破茂氏が総裁選に出馬表明「立候補する決意をした」
石破氏は「(自民党は)民主主義政党だ」と指摘したうえで、民主主義が機能するためには(1)参加する資格を持った人が一人でも多く参加してもらわなければならない(2)そこに正しい情報が伝えられなければならない(3)少数意見も尊重されなければならない――と訴えた。 その後、「その3つを実現できないとき、民主主義は形骸化すると私は信じている。その意味で、今回の総裁選挙で党員に投票の資格が与えられないのは極めて残念なこと」だと述べ、党員投票が行われないことに言及した。 石破氏は「複数の立候補者がいる。それぞれが思うところを申し述べ、直接の有権者ではないにせよ、党員のみなさん、国民のみなさま方にご判断いただく、そういう機会をもっていただくことはわれわれが国民に対して果たすべき責務であると考えている」とも語った。
経済支援と強制性セットで「特措法改正すべき」
政策については、国民の「納得と共感」がキーワードだとした。新型コロナウイルスの感染拡大を「いかにして抑えるか」が喫緊の課題だとし、PCRなど検査の拡大や保健所機能の強化が必要だと述べた。保健所については「20、30年で半分になった。反省しないといけない。OB活用を含めて考えないと」と語った。 コロナ対策に関連して、特別措置法の改正も訴えた。「特措法は本当にこれで十分であったか。感染が収束してから改正する考え方もあるだろうが、感染を収束させるために特措法で改めるべき点があれば改めるべき」。具体的には都道府県知事により権限を移譲することや、経済的な支援と強制的な対応をセットにして感染防止対策を取るべきだとした。 7年8か月続いた安倍政権については「継承しなければならないのは政治の安定。次の政権もできるだけ国民の信任の下に安定をした政権でありたい」と評価。経済政策についても「アベノミクスには評価すべき点はたくさんある。株は上がり、企業の業績も好調だ」としたが、「個人の所得は伸び悩んでいる。生活保護の受給者の数も昭和25年と同じ水準になっている」と指摘。「いかにして消費性向の高い低所得の方々の可処分所得を上げていくか考えないといけない」と述べた。 消費税については「下げればいいと言ってはいない」と強調。社会保障の安定財源としての必要性は認めるとした上で、1989(平成元)年に消費税が導入された頃の日本は経済が元気で人口が急減する状況ではなかったと述べ、「(今の)日本の状況は違う」。逆進性や法人課税などを考慮しながら「消費税の果たすべき役割をもう一度検証する」ことが必要だとした。
石破氏の略歴
石破氏の公式サイトによると、同氏は1957年生まれの63歳。慶応義塾大学を卒業後、三井銀行(当時)に入社。1986年の衆院選で初当選。連続で当選を重ね、現在当選11回。2002年に防衛庁長官、14年には内閣府特命担当相(地方創生)となった。自民党では、09年に政調会長、12年に幹事長となった。