「これでも食ってろ!と写真を添付し…」 兵庫県知事選、斎藤元彦氏の対抗馬らが受けた暴言、いやがらせの数々
「ウンチの写真を添付し……」
「まさかの番狂わせ」と驚いた人も多いのではないか。兵庫県知事選で、「パワハラ」疑惑で失職した斎藤元彦知事(47)が当初の予想を覆し、再選を果たした。一体、何が起きたのか――。 【写真をみる】“お土産”を「俺がもらっていく」と堂々お持ち帰り 高級ガニを手に満面の笑みを見せる斎藤氏 ***
選挙戦を評して「SNSの勝利」「大メディアの敗北」といったフレーズが喧伝されるが、話はそう単純でもないようだ。 取材に当たった民放キー局記者がこう話す。 「今回は異例ずくめの選挙となりました。斎藤陣営はSNSやユーチューブなどのネットを駆使して支持を取り込み、当初の“稲村和美・前尼崎市長優勢”の下馬評を引っくり返して逆転勝利を収めた。ただ一方で選挙戦の主舞台がSNSなどに移ったことで、かつてないほどのデマや誹謗中傷も飛び交いました」 事実、選挙戦終盤に稲村陣営の選対関係者に聞くと、こんな話を打ち明けられた。 「とにかくデマや暴言がひどい。稲村は外国人参政権に賛成したことはないのに、推進派と一方的にSNS上で決めつけられ、“売国奴”などといった誹謗中傷が殺到した。中にはウンチの写真を添付して“これでも食ってろ”といった投稿もありました」
“家族が狂乱状態に”
そんな中、「反斎藤派」とネットで名指しされた竹内英明県議が18日、議会事務局に辞職願を提出する騒動も起きた。 「竹内氏は理由を“言葉の暴力が拡散して、家族が狂乱状態までになった。家族から『政治の道から退いてほしい』と話があった”ためだと説明しています」(民放記者) 実は竹内氏は斎藤氏を支援するために知事選に出馬した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏からも、SNS上で自宅への突撃予告を受けていたという。
「陰謀論が生まれる構図と似通った部分が」
SNSを候補者や支援者が積極活用することには何の問題もない。むしろ、今どきそうしたことができない候補者の方が問題だともいえる。が、上に挙げた事例はいずれも犯罪とされても不思議のない行為ばかり。「パワハラは冤罪だ」と主張している人たちが、他人にハラスメントを行っているのである。 陰謀論ウォッチャーの山崎リュウキチ氏はこう見る。 「今回の知事選を陰謀論の一言で片付けるのには無理がありますが、斎藤支持者の動向を観察すると陰謀論が生まれる構図と似通った部分が見られたことは事実です。人は“希代の悪人”と名指しされた人物が、“実は善人だった”と反転するストーリーに強く引かれる面を持っています。斎藤氏がこのストーリーにぴたりと当てはまる部分があったのは否定できません」 新聞・テレビの報道より、SNSなどネット上の情報を有権者の多くが信じたことについて、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は次のように分析する。 「ネットの情報は玉石混交で信用できないもののほうが多いといった認識がこれまでは主流を占めていました。ですが、ここ1~2年で“真実はネットにこそある”といった風潮が強まりつつあると感じています。ネット黎明期に盛んに叫ばれたフレーズですが、既存メディアへの不信の高まりとともに、再び台頭の兆しを見せ始めている」 11月21日発売の「週刊新潮」では、斎藤知事に熱狂する人々の心理などについて、詳しく報じている。 また、再び斎藤知事を上司とすることになった県職員の受け止め方については、関連記事【「今度こそ誠実に話し合いたい」…「斎藤元彦」氏に辞職を要求した「県職労」幹部が明かした“苦しい胸中”】で詳しく報じている。 「週刊新潮」2024年11月28日号 掲載
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