宇宙飛行士・野口聡一さんが帰国会見(全文1)宇宙よりむしろ地上のほうが大変
ミッションはどの程度達成できたか
読売新聞:読売新聞の中居と申します。よろしくお願いいたします。 野口:よろしくお願いします。 読売新聞:野口さん、打ち上げ前の記者会見で宇宙船にレジリエンスという名前を付けて、こういったコロナですとか厳しい状況の中、強靭さを示したいというお話をされていたと思うんですが、実際にそのミッションの中で、どの程度、ご自分として達成できたとお考えか、引き続き世界は厳しい状況になっておりますけれども、その点についてあらためてメッセージをお願いいたします。 野口:ありがとうございます。そうですね、宇宙船のカプセルの名前に、上、載っていますかね、あの辺の4人乗りでレジリエンス、強靭さとか打たれ強さというか、しなやかさっていうような名前ですけど、まさに今、新型コロナウイルスで苦しんでいる世界に向けての強いメッセージになるようにということでわれわれ宇宙船に名前を付けて、本当に宇宙船に名前を付けられるっていうのは大変な栄誉なので、そういう意味ではもう本当に4人が一致して、2020年の運用初号機にこれ以上ふさわしい名前はないなというところできました。 やはりそういう世間に対するメッセージもありますけれども、われわれその4人が白人もいれば黒人もいる、男性もいれば女性もいるし、軍人もいれば民間人も。まさに本当に多様性、そして多様性に基づく強靭性っていうんですかね。レジリエンスとダイバージェンシー、ダイバーシティに基づくレジリエンスが実現したクルーだと思いました。
異常事態時に強靭さを出せた
ミッション中もかなり、補給船が2機同時に滞在するような時期っていうのは作業量的にも大変な負荷だったんですけども、その中で必要な、地上の皆さんが期待している科学実験、宇宙実験に関する成果っていうのを出していかなきゃいけなかったので、その辺りでいろいろと異常事態があったときにチームとしてのレジリエンス、強靭さっていうのを出していけたんじゃないかなと。 特に船外活動を、私が直接担当した新型太陽電池パネルの土台の部分ですね。架台のフレームの部分っていうのは当初設計してたとおりの作業では完成しなくて、いろいろと地上からの新しい対案をもとに地上で訓練していた以上の力っていうんですかね、トルクを出して、なんとか組み付けられたという意味では、困難な状況に自分たちの工夫と、あと地上との連携で厳しい状況を乗り切ったいい例かなと思います。 そういう意味では本当に私にとって4回目の船外活動でしたけども、一番過酷で一番大変で、その代わりすごくレジリエンスを発揮して乗り切ったいい体験だったなと感じています。 読売新聞:ありがとうございました。 野口:ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。それではどうぞ。