宇宙飛行士・野口聡一さんが帰国会見(全文1)宇宙よりむしろ地上のほうが大変
宇宙での滞在を終え、どういう気持ちで過ごしているのか
NHK:よろしくお願いいたします。ISSに到着した直後のわれわれとの記者会見のときに、単身赴任中のお父さんのような気持ちだっていうふうにおっしゃられていたと思います。半年間の滞在を終えて日本に帰国して2カ月近くたっているっていう状況で、あらためて今の暮らしぶりだったり、宇宙での滞在を終えて今、どういうお気持ちで過ごされているのか教えていただけますか。 野口:ありがとうございます。もうまさに単身赴任のお父さんだったんですけど、っていうか今もそうですけど。なんて言うんですかね、家族とか、あるいは自分が普段住んでいる場所を離れて、ただ単身赴任中だからといって独りぼっちで仕事をしているわけではない。宇宙空間を、私の場合には7名のクルーで宇宙におりましたので、一緒に飛んでるクルーそれぞれに家族があり、そういうところから離れて、寂しい思いをしながら、少なくともこの6カ月間の間は同じ仲間として、同じ釜の飯を食う仲間として楽しく頑張っていこうという、そういう意味では本当に和気あいあい、かつ仕事に関してはお互いに厳しく、時に厳しく、時にカバーし合いながら、すごくいいチームができたかなと思います。 NHK:ありがとうございます。 野口:ありがとうございます。 司会:では次の方、挙手のほうお願いいたします。どうぞ。
地上のほうが大変だと思う瞬間はあったのか
ニッポン放送:ニッポン放送、畑中と申します。 野口:お疲れさまです。 ニッポン放送:お帰りなさいませ。 野口:どうもありがとうございます。 ニッポン放送:先ほど地上のほうが大変ではないかというようなお話がありましたけれども、宇宙でもそういう地球からの情報っていうのはいろいろ入ってきたんではないかと思われますが、地上のほうがやっぱり大変だなというように思うような瞬間っていうのは、宇宙にいらしてあったのかということと、あとは、そういう観点で見ると、宇宙から見た地球というのはまた違った姿で見えたのかなというふうにも思うんですが、そこら辺のところはいかがでしょうか。 野口:そうですね、半年間の間っていうのは基本的にはもう究極の隔離生活といいますか、7人しかいない世界で、間違いなくその7人はいわゆる新型コロナウイルスの心配はない。そういう意味では下界から新しい人も入ってきませんし、隔離した状態で地上の人たちの感染者数だったり、ワクチンの準備状況だったりっていうのをニュースで見ながら、ちょっとどことなくリアリティーがない感じで地上の様子を見ていました。 もちろんどういう状況にあってもコロナウイルスに対して注意すること自体は変わりはないんですけど、完全に切り離された状況で、地上で本当に、ある意味、早回しで地上の変化っていうのを見てる感じもあって、そういう意味ではワクチンが承認されて少しずつ行き渡って、その過程でいろんな副反応とか拒否の話みたいなのがあった上で徐々に広がっていって、ある程度収束に向かうっていうのが、特にアメリカに関してはそういう動きだったので。 今、ちょうど日本に戻ってきてからその辺の動きが本当に数カ月遅れで、同じような動きが日本で今、起こっている感じがしています。ですので、今、厳しい状況であるのはもう間違いないと思いますし、皆さん大変だと思いますけども、もう少ししたらアメリカで今起こっているように、ある程度ワクチンが一巡すると、一気に社会的な不安という意味では収まってくるので、そこまでもう一頑張りかなという感じはしますけどね。ありがとうございます。 ニッポン放送:ありがとうございました。 司会:ありがとうございます。それでは次の質問、ございますでしょうか。どうぞ。