パリ2024パラリンピック™で大躍進! トヨタ自動車所属4選手が報告会で明かした好成績の秘訣、そして関係者との絆とは?
半谷静香選手 ~コーチからの言葉「こだわれ!」で勝ち取った初のメダル
視覚障がい者柔道 半谷静香 1988年7月23日生まれ 所属:トヨタループス 初出場のロンドンパラリンピックで7位。リオ・東京は5位。 今大会は視覚障がい者柔道J1(全盲)クラスで自身初となる銀メダルを獲得した。 Q. 過去3大会から、取り組みで変えたことは? 半谷選手:コーチが磯崎先生に変わってから、相手の動きを感じる、良い姿勢で柔道をする、というのが大きなテーマでした。磯崎先生と出会えて、以前より柔道が面白くなって、どんどん好きになって、試合をするたび自分が上手になっていく過程が面白くなりました。 Q. 本番では手に汗握るような接戦が続いていましたが、精神的に切らさないように、というところで工夫されていたことは? 半谷選手:「待て」がかかるたび、自分のまっすぐを確認するために小刻みにジャンプすることと、今自分の何%の力を発揮できているのか、全力の何%なのかを問いかけるようにしていました。そして磯崎先生の「こだわれ!」という声が大歓声の中でも聞こえてきて。やらなきゃいけないことを1つずつやっていった感じです。長くなってしんどい時こそ、こだわった方が安心して柔道できたので、こだわることは意識しました。 Q. 「こだわる」とは具体的にどういった意味ですか? 半谷選手:釣り手と引き手の握り方だったり、良い姿勢を保つことだったりでしょうか。相手の力を感じるためには自分の手足の力を抜く必要があって、それをするために体を良い姿勢に保つ必要がありました。自分の癖で、疲れてくると反対向きに握ったりとか甘く握ったりという癖があって、癖を出さないよう基本に忠実に、ということですべてを意識させる短い言葉が「こだわれ」という言葉。磯崎コーチが集約してくれました。この一年間、この言葉をずっとかけてくれたので、今回も強く意識でき、そしてメダルへつながりました。
鈴木朋樹選手 ~本音をぶつけあって生まれた最高の車いす
車いすマラソン/1500m 鈴木朋樹 1994年6月14日生まれ 所属部署:社会貢献推進部 初出場の東京パラリンピックではユニバーサルリレーで銅メダル。 今大会は2回目の出場。1500mで7位入賞、車いすマラソンで銅メダル獲得。 Q. 新しい車いす製作のため、豊田章男会長に直訴されたと聞きましたが? 鈴木選手:東京大会の後に会長とお話をした時、(競技用車いす製作を)うちがやっていない? じゃあやろうよ!みたいなすごく良いお声がけをいただいて、そこから車いす製作がスタートしました。 Q. 完成した車いすの乗り心地は? 鈴木選手:一昨年12月に最初の車いすができあがりましたが、実は正直あまり乗り味が良くなかったんですよ。いろんな人に協力してもらってできたものをまずい、と言えなくて。でも、開発チームの方の1人に「選手からは好きに言ってもらった方がいい、思ったことを全部言ってもらって、できるできないは置いておいてそれをやるのがエンジニアの仕事」と言われた時ハッとしたんですよ。そうか、我慢している方が彼らにとって悪いことなんだと思って、そこから自分もどんどん意見するようになって。そして、今年2月にできあがったものをパリで使いました。この車いすを使って、2月のドバイの大会では1500mで日本新記録を出せて、3月の東京マラソンでは優勝できました。 Q. パリ大会で銅メダルを獲ったマラソン本番中、どんなことを感じながら走っていましたか? 鈴木選手:本番中に感じたのは、(この車いすは)体に密着して体にちゃんと数値化して作られたものなので、自分が伝えた力が100%競技に生かされている、ということ。それがメリットかなと。さらに、フルカーボンで軽く作られているので、上り坂とか、アスファルトの路面ではスピードがバッと上がる部分があったのでそういったところで他の選手に差をつけられたと思います。