日銀・黒田総裁会見3月18日(全文1)必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の18日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年3月18日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁、金融政策決定会合後に定例会見(2022年3月18日) ◇ ◇
現状維持とすることを賛成多数で決定
NHK:今月幹事社のNHKの【シモムラ 00:01:42】と申します。よろしくお願いいたします。総裁、まず本日の決定会合の決定事項、ご説明をお願いいたします。 黒田:本日の決定会合では長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの下での金融市場調節方針について現状維持とすることを賛成多数で決定しました。また、長期国債以外の資産の買い入れ方針に関しても、従来の方針を維持することを全員一致で決定しました。すなわち、ETFおよびJ-REITはそれぞれ年間約12兆円、年間約1800億円に相当する保有残高の増加ペースを上限に、必要に応じて買い入れを行います。 CP等、社債等については今月末までは合計で約20兆円の残高を上限として買い入れを行いますが、来月以降は昨年12月の決定内容どおり、感染症拡大前と同程度のペースで買い入れを行うこととし、買い入れ残高を感染症拡大前の水準、すなわちCP等は約2兆円、社債等は約3兆円へと徐々に戻していきます。 次に経済・物価動向について説明します。わが国の景気の現状については、感染症の影響などから一部に弱めの動きも見られるが、基調としては持ち直していると判断しました。やや詳しく申し上げますと、海外経済は国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じて見れば回復しています。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国際金融資本市場では不安定な動きが見られるほか、原油などの資源価格も大幅に上昇しており、今後の動向には注意が必要です。
基調的な物価上昇圧力は高まっていく
そうした下で、輸出や鉱工業生産は供給制約の影響を残しつつも、基調としては増加を続けています。また、企業収益や業況感は全体として改善を続けています。設備投資は一部業種に弱さが見られるものの、持ち直しています。 雇用・所得環境は一部で改善の動きも見られますが、全体としてはなお弱めとなっています。個人消費は感染症の再拡大によるサービス消費を中心とした下押し圧力の強まりから、持ち直しが一服しています。住宅投資は横ばい圏内の動きとなっています。金融環境については、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にあります。 先行きのわが国経済を展望すると、感染症によるサービス消費への下押し圧力や、供給制約の影響が和らぐ下で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、資源価格上昇の影響を受けつつも回復していくとみられます。物価面では生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、携帯電話通信料の引き下げの影響が見られるものの、エネルギー価格などの上昇を反映して0%台半ばとなっています。また、予想物価上昇率は緩やかに上昇しています。 先行きについては、当面エネルギー価格が大幅に上昇し、原材料コスト上昇の価格転嫁も進む下で、携帯電話通信料下落の影響も剥落していくことから、プラス幅をはっきりと拡大すると予想されます。この間、マクロ的な需給ギャップの改善や、中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、基調的な物価上昇圧力は高まっていくと考えられます。 リスク要因としては、引き続き変異株を含む感染症の動向や、それが内外経済に与える影響に注意が必要です。また、ウクライナ情勢が国際金融資本市場や資源価格、海外経済の動向等を通じて、わが国の経済・物価に及ぼす影響についても極めて不確実性が高いと考えています。 日本銀行は2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続します。マネタリーベースについては、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続します。また、引き続き新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、国債買い入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、ETFおよびJ-REITの買い入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めてまいります。その上で当面、感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます。政策金利については、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定しています。以上です。