日銀・黒田総裁会見3月18日(全文1)必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続
円安についてどう考えているのか
共同通信:共同通信の【モリナガ00:13:20】と申します。よろしくお願いします。今、幹事の質問にございましたけども、円安の影響についてあらためてお伺いしたくて質問させていただきました。これまで総裁は、全体ではプラスで、一方で家計の、最近は家計に対する物価の上昇というのが与える影響が大きくなっている可能性みたいなのを示唆されつつも、基本的には全体としてはプラスだというお考えを示されています。とはいえ、最近、FRBの利上げも始まって、だいぶ金利差が開いて円安はだいぶ、119円までいきましたというのもあって、わりと急激な加速のように見えるんですけども、あとは、実効為替レートのほうもわりと、50年ぶりの水準と。あらためて、そういう中でも円安っていうのに対して、ご総裁はどういうふうにお考えなのかお聞かせください。 黒田:為替相場の具体的な状況について、いろいろコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、いつも申し上げているように、為替相場は経済や金融の、このファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが極めて重要だというふうに思っております。 その上で一般論として申し上げますと、為替レートの変動がわが国経済に及ぼす影響は経済・貿易構造に応じて変化しているわけでありますけれども、為替、円安が全体として経済・物価を共に押し上げ、わが国経済にプラスに作用しているという基本的な構図は変わりないと考えています。 ただし、為替、円安の影響が業種や企業規模、経済主体によって不均一であることには十分な留意が必要であります。その中で、円安は輸入物価の上昇要因となるわけでして、輸入物価の上昇が家計の実質所得の減少や、企業収益の悪化を通じて、わが国経済の下押し要因となりうるわけであります。ただし、最近の輸入物価の上昇については、ウクライナ情勢を受けた国際商品市況の急激な上昇がありまして、為替、円安というよりも、ドル建てで見た原油などの資源価格上昇の影響のほうが圧倒的に大きくなっているわけであります。いずれにいたしましても、原油や天然ガスの大部分を輸入に頼るだけに、これらの輸入価格の上昇がわが国の経済や物価に及ぼす影響について注意深く見ていきたいというふうに思っております。