米FRBが量的緩和縮小 利上げはいつになる?
米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の縮小を決めました。これを受け、いつ利上げに踏み切るのかが焦点になっています。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストに寄稿してもらいました。 【グラフ】もはや米国は「コロナバブル」ではない
インフレ「一時的とみられる要因」に表現修正
FRBは11月2~3日の日程で開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)において量的緩和の段階的縮小、いわゆるテーパリングの開始を決定しました。パンデミックが米国経済を襲った2020年3月以降、FRBは毎月1200億ドルのペースで国債と住宅ローン債券(MBS)を市場から買い入れることによって景気をサポートしてきました。こうした金融緩和が奏功して失業率が低下傾向を維持するなど景気回復に一定の目途が付き、FRBは2022年11月以降、買い入れ額を毎月150億ドルずつ減額(国債100億ドル、MBS50億ドル)することを決定しました。 公表された声明文には「毎月同様に縮小することが適切と判断しているが、経済情勢の変化により調整する用意がある」とも記載されましたが、金利上昇・株価下落が止まらなくなったり、景気が悪くなったりしない限り、そうした調整が実際に行われる可能性は低いと考えられます。2022年6月に資産購入が終了するのは確定的な情勢です。なお、この決定は事前に広く予想されていたもので意外感はありません。 現在、前年比4~5%で高止まりしている(消費者段階の)インフレ率の現状認識については「一時的とみられる要因によって高止まりしている(Inflation is elevated, largely reflecting factors that are expected to be transitory)」とされました。前回の9月FOMCまでは「一時的要因によって高止まりしている(Inflation is elevated, largely reflecting transitory factors)」でした。 インフレが「一時的要因」であることについて断定的な表現が用いられていましたから、高インフレの長期化にやや警戒感をにじませた形です。資源価格の上昇が顕著になるなど、物価上昇が収まる気配に乏しい最近の状況を踏まえ、表現を微妙に変化させたのでしょう。