大学の在学中に猶予されていた「国民年金保険料」の催促が来ました。払わずに放置してはダメですか? 払わなかったら年金受給額が減るのでしょうか?
日本国内に住む20歳から60歳のすべての人は、国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務付けられています。ただし、学生には、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。 ▼年金機構から「差し押さえ」の手紙が届いた! 口座残高「ゼロ円」で差し押さえる財産がなければ大丈夫? これはあくまでも「猶予」であるため、社会人になったら納付することが求められます。とはいえ、給与から差し引かれる社会保険料に加えて、学生時代の国民年金保険料も納付することは負担が重く、「できれば払いたくない」と思うかもしれません。 本記事では、あらためて、学生納付特例制度について理解するとともに、猶予された分を支払わなかった場合の影響について解説します。
「学生納付特例制度」とは
「学生納付特例制度」は、前年の所得が一定以下の20歳以上の学生が、国民年金保険料を支払うことが難しい場合に、申請することで、納付を「猶予」してもらえる制度です。本来であれば、国内に住む20歳以上の人は、国民年金保険料を納付する義務がありますが、「学生納付特例制度」を利用することで、在学中は保険料を納めなくても未納扱いになりません。 特例期間中の保険料が、「未納」ではなく「猶予」であることには意味があります。保険料を支払わなくても、加入者としての資格は保障されるため、障害や死亡といった不測の事態が生じた場合でも、要件を満たせば、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されます。そのため、経済的に困難な学生にとって安心な制度といえます。 この制度を利用すると、猶予されていた期間は、将来、老齢年金を受け取るための「受給資格期間」には含まれますが、実際の年金額には反映されません。そのため、猶予された期間の保険料は、最大10年間「追納」することができます。社会人となり収入を得るようになったときに「追納」すると、「納付済期間」として年金額に反映されます。
猶予分の保険料を支払わなかった場合の影響
猶予された期間の保険料を「追納」しない場合、つまり10年以内に後払いしない場合、その期間分は、年金の計算対象から外れるため、将来の年金受給額が減ります。 20歳から60歳までの40年間(480月)保険料を納付した方の場合、2024年度(令和6年度)新規裁定者の年金額は満額で81万6000円です。1月でも納付していない期間がある場合には、月数に応じて減額されます。 例えば、2年(24月)間、猶予分の保険料を支払わなかった場合には、81万6000円 × (480-24)÷ 480 = 77万5200円となり、満額受給額との差は年間で4万800円少なくなる計算です。 月額でいえば3400円となり、わずかに思えるかもしれませんが、65歳以降生涯にわたって受け取ることのできる公的年金であることをふまえると、意外と影響は大きいといえるのではないでしょうか。