第163回芥川賞受賞会見(全文)高山羽根子さん「もうちょっと書かせていただける」
絵を描くことは小説にどう影響しているのか
読売新聞:読売新聞の【イケダ 00:24:18】と申します。このたびはおめでとうございます。 高山:ありがとうございます。 読売新聞:高山さんの経歴としては、大学で美術を学ばれて、絵画学科を卒業されてて、会社員をしながらもグループ展に出したりということもあったとお聞きしましたが、絵を描くということが小説を書くということに、何か、どういう影響であるとか、与えているものっていうのは。 高山:どこまでを、絵で描いていたものが影響しているかとか、もう本当にシームレスなので、なかなか自分でも言語化しづらいんですけれども、今でも、その当時でもやっぱり、書ききれないこと、字で書ききれないことを絵で描いて、絵で描ききれないことを字で書く、みたいなことを繰り返しながら生きているような感じが、生きているというか、進めているような、確認をしながらやっていっているような感じがあって、おそらくそれが、どちらかがうまくいかないと、ちょっと止まってしまうような気持ちも自分ではあるので、やっぱりどっちも進めていかないといけないんだなっていうのは、自分の中では思っています。 読売新聞:あと、受賞が決まったあと、ご自身のTwitterのアカウントで1つ、つぶやかれていらしたかなと思います。「ごわー」とかって。 高山:そう、ちょっとびっくりしたので。 読売新聞:そこにファンの皆さんから、おめでとうございますっていうふうにいただいたかと。 高山:いや、本当にありがとうございます。 読売新聞:どのようなお気持ちだったのかなと思いまして。 高山:いや、実際、自分1人の時点で、おめでとうございます、じゃないですけど、ご連絡をいただいたときの実感の度合いからすると、やっぱりこんなに喜んでくれる人がいるっていうほう、すごくみんなが喜んでくれるっていうほうが。なんて言うんですかね。そういうほうがうれしいというか、みんな喜んでくれるんだって思って、それで、頑張って良かったな、じゃないですけど、頑張るとかっていうのとまたちょっと、あれなんですけど、良かったなって、そっちのほうで思いましたね。 読売新聞:ありがとうございます。 司会:ありがとうございました。高山さん、ありがとうございました。おめでとうございます。 高山:ありがとうございます。 司会:ではもう一度、拍手をお願いいたします。ありがとうございました。 高山:大変な中。大丈夫ですか。ありがとうございます。 司会:ありがとうございます。 (完)【書き起こし】第163回芥川賞受賞会見