もしあなたが《余命宣告》を受けたらどう行動するのが正解か…? 美しい最期を実践するための「10の心得」
累計188万部の大人気シリーズ『おとなの週刊現代』が大幅リニューアル!週刊現代で大反響だった記事の中から、相続や在宅介護など、「死後の手続きと生前準備」にまつわる記事を、加筆のうえ、ピックアップ。 【マンガ】「遺体がすごい形相で…」元火葬場職員が驚いた「ヤバすぎる事件」 〈第1部 知らないと損する死後の手続きの新常識〉、〈第2部 今日から始める生前準備のすべて〉、〈第3部 身の回りの整理整頓。人生の最期を考える〉の三部構成からなる『おとなの週刊現代 2024 vol.4 死後の手続きと生前準備』 (講談社MOOK) より一部抜粋・再編集して、人生の最期で失敗しないためのノウハウをお届けする。 『有名人に学ぶ「美しい最期」の迎え方…重要なのは誰かに「命のたすき」をつなぐことだった』より続く
命は死を前にして輝く
「死が目前に近づくことは、人間にとって究極の苦しみです。しかし、人はその苦しみのなかで多くのことを学び、本当に大切なものを見つけます。そこで見つけたものは、残された『いま』を支える糧となっていく。死を絶望と捉えるか、あるいは希望あるものとして捉えるかで、人生最期の景色はまるで変わるのです」 そう語るのは、めぐみ在宅クリニック院長で、『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』の著者の小澤竹俊氏である。 大切な人を残して、ひとり逝くのはたしかに不安だ。ただ、逃れられない死を恐れすぎたり、健康だった日々にいつまでも執着していては、美しい最期は迎えることはできない。 死に方は「生き方」でもある。看取りの現場で多くの患者と向き合ってきた医師、看護師の証言のもと、晩年をジタバタせず穏やかに生きるための心得を見ていこう。
家族の思いを知っておく
これまで1000人以上の患者と関わってきた看取りの看護師、後閑愛実氏は「死について家族と話しておくことが最も大切」と話す。 「それを痛感したのは、『家で死にたい』と在宅医療を望んでいたある80代の末期がん患者が、入院を希望されたときです。珍しいケースなので理由を聞くと『娘と親子でいたいから』と彼女は言いました。 娘さんは看護師で、家では一生懸命、母親をサポートしていたそうです。ただ、その患者さんにとって、母親としての役割そのものが生きがいだった。病気になって、家事ができなくなり、その生きがいを失ってしまった。娘さんはそんなお母さんの面倒を見ていましたが、お母さんは自分が病人扱いされていると感じ、居心地が悪くなってしまったのです。 彼女は入院から1週間後に息を引き取りましたが、入院後は生前の希望通り、娘さんと親子の関係を取り戻すことができ、幸せそうでした。娘さんも『入院してからは肩の力が抜けて、お母さんに甘えることができた』と言っていました」 このケースでは、「病人扱いされたくない」という母の思いを知っていれば、娘は最初から母にそう接していたか、あるいは早々に入院をさせていたかもしれない。家族会議なんてかしこまった機会は用意しなくていい。普段の生活のなかで、病気になったときに自分は何をされたら嬉しくて、何をされるのが悲しいかを話しておく。長年同じ時間を過ごした家族だ。きっと些細な言葉でも理解してくれるはずだ。