日銀・黒田総裁会見9月22日(全文1)感染症リスクの低下につれて消費も回復
内外の経済・物価の動向を丹念に点検したい
もとより、以上のような見通しにつきましては、感染症の影響を中心に不確実性が大きいということは認識しております。来月公表する予定の展望レポートに向けて、短観や支店長会議の情報も含めて、内外の経済・物価の動向を丹念に点検していきたいというふうに考えております。 2番目の中国の不動産大手企業の債務問題につきましては、先行きの債務返済の帰趨を巡って市場の関心が高まっておりまして、足元では株式市場を中心に国際金融市場で神経質な動きが見られているということで、そのリスクは認識されているというふうに承知をしております。日本銀行としては同社の債務問題を巡る市場の見方の変化や、それが国際金融市場に及ぼす影響も含めて、引き続き状況を注視してまいりたいというふうに思っております。以上です。 朝日新聞:ありがとうございます。幹事社からは以上です。各社さん、質問あればお願いします。
消費が持ち直すタイミングの見通しは
ロイター:ロイター通信の木原です。2点お願いします。先ほどご指摘のように企業部門は好調であると。ワクチンの接種も進んで消費は今後、行動制限も緩和されていくのであれば回復していくのではと思われますが、外需と内需のバランスについて伺いたいんですけれども、これまでは外需が牽引して内需の落ち込みを補ってたと思うんですが、そこのバランスが少し、米中経済が来年減速していく見通しであれば、外需の力が少し弱まって、逆に内需の支えを受けるという形になるのか、およびそれが日本の経済回復のタイミングにどう影響を及ぼすのかっていうのをもしご見解あればお願いしたいのが1点目です。 2点目はそれとちょっと関連するんですが、ご指摘のように企業部門では所得から支出への前向きな好循環がはっきりと見えて、先行きもそれが続くように思われるんですが、家計ではなかなかそれが進んでいないようにも見られます。企業から家計へのこのトリクルダウンというか、家計部門が支出にもっと前向きになるための条件、および消費が本格的に持ち直していくタイミング、これもなかなか読みづらいと思うんですが、現時点での見通しをお聞かせください。 黒田:最初のご質問につきましてはご指摘のとおり、また先ほど申し上げたとおり、企業部門では比較的明確な好循環が見られるわけですけれども、消費、家計部門の状況はやや弱いと。もちろんワクチンの接種が国民全体でも5割を超えていますし、高齢者ではもう8割を超えているという状況で、次第に消費の回復に向けた基盤は整いつつあるとは思うんですけれども、ご指摘のこの外需と内需のバランスというのはこれなかなか難しいところでして。 まず第1に、現在の外需の状況を見ますと、中国経済はワクチンの普及というよりも、むしろ感染症の収束というのがかなり早かったこともあって、経済は順調に回復しておりますし、また米国もいろんな指標で見る限り相当急速に回復していると。これに対して中国の急速な回復というものが少し減速していくのではないかという議論はありますが、そもそも中国経済のこの足元の成長というのはかなりしっかりしているというふうに思います。 また米国につきましても変異株の流行でいろんな影響が出てきているんじゃないかといわれますが、実際の経済指標で見る限り、消費も生産も極めて順調に伸びておりますので、今の時点で米中の経済は非常に減速して外需が弱くなっていくという見通しを持つ必要はないと思います。